最近「小麦粉が値上がり」したニュースを目にすることが多くなりました。小麦粉を原料にして作られるパンやうどんなどの食品も値上がりして家計を打撃していますよね(泣)コロナ禍で外食することが少なくなり、自宅でレシピを見ながら新しい料理にチャレンジするかたも多いのではないでしょうか。
レシピの材料には薄力粉を使っているものや、中には小麦粉と書いているものもあります。薄力粉と小麦粉は何か違いがあるのでしょうか?今日は小麦粉と薄力粉の違いについて管理栄養士がお答えしていきます!
小麦粉と薄力粉は同じ?それとも違うもの?
小麦粉と薄力粉は違いがあるのでしょうか?筆者の自宅には小麦粉は2種類ありました。商品名を見てみると「薄力小麦粉」「強力小麦粉」と書かれているので、これではレシピに小麦粉と書かれていた際、どちらを使うべきか迷いますよね。
2つの原材料表示を見比べてみると、原材料名の名称はどちらも同じ「小麦粉」、原材料名は「小麦」となっていました。100ℊ当たりの違いを見てみると異なるのはたんぱく質・炭水化物の量でした。
栄養成分表示100ℊあたり | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 |
薄力粉 | 350ℊ | 8ℊ | 1.5ℊ | 76ℊ | 0ℊ |
強力粉 | 350ℊ | 12ℊ | 1.5ℊ | 72ℊ | 0ℊ |
※日清製粉グループの薄力粉・強力粉を比較
「薄力粉」も「強力粉」もどちらも名前の後に小麦粉とつくならば、小麦粉と薄力粉に何か違いがあるのでしょうか?
小麦粉は小麦から作られた粉類の総称
小麦粉は小麦から作られたものをいいます。小麦とはイネ科の植物で、形は稲穂と似ていますが、稲穂からとれるのはお米であり、まったくの別物です。小麦の実を粉砕し「ふすま」と呼ばれる部分を取り除かずにそのまま粉にしたものが小麦粉になります。小麦に含まれるたんぱく質の量により、薄力粉・中力粉・強力粉に分けられます。
- 薄力粉=硬質小麦
- 中力粉=中間質小麦
- 強力粉=軟質小麦
レシピ上での小麦粉は薄力粉のこと!
レシピ上での小麦粉は一般的に薄力粉を指します。中力粉や強力粉を使う場合はレシピでは必ず「中力粉」「強力粉」と記載があるので出来上がりの食感や弾力などおいしく作るためには、記載している通りの小麦粉で作ってくださいね。
薄力粉・中力粉・強力粉の違いとは?
小麦粉にはたんぱく質が67~75%含まれれています。小麦粉に含まれるたんぱく質はグリアジンとグルテニンと呼ばれるものです。これら2つは水を加えて混ぜると新たにグルテンという成分が生まれます。このグルテンの量の違いによって主に薄力粉・中力粉・強力粉の3つに分けられます。また、これらの3つは小麦の種類によってわけられています。
水分と混ぜたときの弾力の強さの違い
グルテンは水を含むと弾力性のあるものに変化しますが、グルテンの量が多ければ多いほど弾力が強くなります。強力粉から作る手ごねパンなどは捏ねればこねるほど弾力が出てくるのはグルテンの量が多いからなんですね。
小麦粉の種類別の特徴
薄力粉 | 中力粉 | 強力粉 | |
たんぱく(グルテン)含有量 | 6~9% | 9~11% | 11~13% |
こね方 | あまりこねない | こねる | よくこねる |
主な用途 | お菓子・天ぷら | うどん・中華めん | パン・餃子の皮 |
薄力粉
グルテンの含有量が量が6~9%のものを薄力粉といいます。一般的にレシピ上での小麦粉は薄力粉を指します。主に、ケーキやクッキー、天ぷら粉に使われます。サクッとした食感やふんわり仕上げるものに向いています。
中力粉
グルテンの含有量が量が9~11%のものを中力粉といいます。適度な弾力がうまれるので、コシがあるうどん麺などに向いています。
強力粉
グルテンの含有量が量が11~13%のものを強力粉といいます。パン作りに適しており、パンのレシピには小麦粉ではなく、強力粉と必ず書かれています。パンを作るときには、水や牛乳を加えてこねていきますが、薄力粉とは違い、かなりの弾力性があります。特に、自宅で作るパンは焼きたてが食べられるのが醍醐味のひとつですね。
まとめ
小麦粉は薄力粉・中力粉・強力粉を総称したもの。一般的には薄力粉のことを小麦粉ということがほとんどです。レシピなどで小麦粉と書かれていたら薄力粉を使ってくださいね。
参考文献
日本食品標準成分表2020年版(八訂)