冷奴や湯豆腐、鍋料理や味噌汁の代表具材である「豆腐」。
日本では非常に馴染深い食品ですが、1人暮らしの人や忙しい人は使い切れずに冷蔵庫に放置しがちです。
豆腐は全部で4種類ありますが、賞味期限が過ぎても何日後までなら安全に食べられるのでしょうか?
腐った豆腐はどんな状態になるのか?最も長期的に保存出来る方法は何?
今回はそんな「豆腐」の日持ちについて、詳しく解説します!
「腐」と書くけど豆腐は腐っていない
当たり前ですが、豆腐は元から腐っていません。
豆腐の名称に付いている「腐」は、腐っているという意味ではありません。
「腐」は菌が繁殖している状態以外に”ブヨブヨとしていて柔らかい”、”塊”という意味を持っている漢字です。
豆腐は”豆を柔らかく固めた状態”という意味で名付けられている、主に大豆を原料にして作った加工食品です。
体に良い影響を与える菌を繁殖させて作る「納豆」と名称が逆になったという説もありますが、こちらは俗説で正しく無いのでご注意ください。
豆腐の種類について
豆腐は大豆で作るお馴染みの白い豆腐が一般的ですが、他の豆類を使って作られた豆腐も、スーパー等で売られています。
それらを含めても、豆腐は主に4種類の方法で作られています。
以下にて、4種類ある豆腐それぞれの特徴をご紹介します。
煮崩れしにくい「木綿豆腐」
豆腐と聞くと、思い付きやすいのは「木綿豆腐」です。
木綿豆腐は、豆乳に海水から作った自然の凝固剤”ニガリ”を加えたものを一度崩してから寄せ集めて、木綿の布を敷いた型箱(木等で作られた豆腐の成形専用器具)に流し込んで固めて作ります。
木綿の布を型箱に敷くのは、型箱から固まった豆腐を取り出しやすくする為です。
豆乳を2回固めて作るので、硬めの食感で煮込み料理に入れても崩れにくいのが特徴です。
麻婆豆腐や鍋料理に好まれる豆腐です。
厚揚げや油揚げ(薄揚げ)、がんもどきの材料でもあります。
木綿豆腐の表面を炙って作る「焼き豆腐」は、すき焼きや雑煮の定番具材です。
つるりとした喉越しで食べやすい「絹ごし豆腐」
「絹ごし豆腐」は、滑らかでつるりとした食感が特徴です。
冷奴や湯豆腐に良く使われる豆腐です。
木綿豆腐と違い、ニガリを入れた豆乳を直に型箱に入れて1回だけ固めて作ります。
絹ごし豆腐は、作る時に絹を使いません。
”絹のように滑らかな豆腐”という意味で、絹ごし豆腐と名付けられています。
パックに豆乳を流し入れて作る「充填豆腐」
「充填豆腐」は、豆腐を作る時に型箱という専用器具を使わずに、プラスチックのパック等にニガリを入れた豆乳を直接流し入れて作ったものです。
食感は、絹ごし豆腐と殆ど一緒です。
木綿豆腐や絹ごし豆腐のように水に晒していないので、製造から賞味期限日までが長いのが最大の特徴です。
賞味期限が切れた後の保存期間については、後に詳しくご紹介します。
別名”おぼろ豆腐”「寄せ豆腐」
沖縄県の郷土料理「ゆし(おぼろ豆腐)」等が該当する「寄せ豆腐」は、豆乳にニガリを加えて凝固させたものを、水桶等で集めてまとめる”寄せ”の作業の段階で取り出した状態の豆腐です。
他の豆腐のような弾力が殆ど無く、フワフワとしていて柔らかい食感をしています。
寄せ豆腐は晒している水の分量が全ての豆腐の中で一番多いので、賞味期限が最も短いです。
日持ちについての詳しい内容は、こちらも後に説明します。
豆腐は腐るとどうなるの?
豆腐も勿論、保存期間が長すぎると腐ります。
豆腐が腐ると下記のような状態になります。
腐っている豆腐の特徴
・黄色っぽい色に変色する
・持ち上げた時に糸を引く
・容器が膨張している
・カビが生えている
・表面がねばついている
・酸っぱい臭いがする
・食べると酸味や強い苦みを感じる
上記のようになっていたら、菌が繁殖しているので直ぐに捨てましょう。
食べてしまった場合は飲み込まずに、直ぐに吐き出してください。
そのまま飲み込んでしまうと嘔吐や下痢・腹痛等を起こして最悪死んでしまう事もある、重篤な食中毒になります。
豆腐の未開封・開封済の日持ち目安
前置きが大変長くなりましたがここからは、4種類ある豆腐の日持ち目安についてご説明します。
基本的には、市販品のパッケージに記載されている日付までに使い切るのが一番安全です。
しかし忙しくて料理をする時間がなかなか取れない人や、一回の使用量が少ない一人暮らしの方は、ついつい賞味期限を切らしてしまいがちです。
あなたも該当するからこそ、この記事を閲覧くださっている筈です。
下記にて木綿・絹ごし・充填・寄せの4種類ある豆腐について、賞味期限が切れてから何日後まで食べられるのかを未開封・開封後のそれぞれで説明します。
未開封の場合【木綿・絹ごし豆腐】
木綿豆腐・絹ごし豆腐の未開封品は、賞味期限後から冷蔵保存で2~3日が安全に食べられる目安です。
豆腐は、製造した日から徐々に痛んでいきます。
スーパーに出回っている段階でも、正直にいってしまうと少し痛んでいる状態です。
少し痛んではいますがスーパーで買ったばかりの豆腐は新鮮に近いので、生食でも問題なく食べられます。
賞味期限が切れてしまった場合は冷奴等の生食は避けて、熱を通した状態で食べるようにしましょう。
未開封の場合【充填豆腐】
パックに水が入っていない充填豆腐の未開封品でも、賞味期限後から冷蔵保存で3日までが安全に食べられる目安日です。
充填豆腐の場合も賞味期限が切れたら生食をせずに、3日後までに熱を通して食べてください。
ただし充填豆腐の場合は、パッケージに記載されている賞味期限が木綿・絹ごしよりも長いです。
未開封の場合【寄せ豆腐】
寄せ豆腐の場合は逆に、賞味期限が非常に短いです。
パッケージに記載されている賞味期限は、製造日から3日後までが殆どです。
賞味期限後から3日後までは安全に食べられますが、それ以降は他の豆腐よりも早く痛みやすいです。
寄せ豆腐は、買ってから早めに食べた方が良い食品だと認識しておきましょう。
開封時の場合【木綿・絹ごし・寄せ豆腐】
開封した後の木綿・絹ごし・寄せ豆腐の3種類は、冷蔵庫に入れていても1~2日程度しか日持ちしません。
パックの中の水を1日1回取り替えながら冷蔵庫で保存すれば、5日後まで安全に食べられる期間を延ばせます。
開封時の場合【充填豆腐】
充填豆腐の場合も木綿・絹ごし・寄せ豆腐と同じく、開封したら1~2日までしか日持ちしません。
充填豆腐を長持ちさせるには、他の豆腐と同じくパックから豆腐を取り出して、別の容器に水を入れた状態で冷蔵保存をします。
1日1回水を取り替えながら保存すると、最大5日後まで安全に食べる事が出来ます。
古代日本人の知恵!豆腐を長く保存出来る方法
意外と日持ちしない食品である豆腐ですが、非常に長い期間保存させる裏技のような方法が、実はあります。
「高野豆腐」をご存じでしょうか?
硬いスポンジのような独特の食感が特徴で、かつおや昆布の出汁で煮込むと非常に美味しい食品です。
これは、日持ちしない豆腐を長期保存出来るように加工して作られた食品です。
野菜を長期保存する為に作られた「漬物」、魚介類を長期保存する為に作られた「乾物」や「酢じめ」同様に、古代日本で編み出された保存食です。
鎌倉時代に作られた保存食!「高野豆腐(凍り豆腐)」
高野豆腐は、別名”凍り豆腐”ともいいます。
起源は2つの説があります。1つ目は鎌倉時代(1185年から1333年まで)に、和歌山県の北部にある世界遺産「高野山」の寺の僧侶達が作った食べ物だといわれています。
もう1つは長野県・東北地方で、こちらも鎌倉時代から作られている「凍み豆腐(しみどうふ)」が起源だといわれています。
高野豆腐は、別名である”凍り豆腐””凍み豆腐”の名前が示す通り、豆腐を凍らせて作ります。
豆腐は冷凍するとブヨブヨした独特の食感を失います。
その代わりにパサパサした食感になって、スポンジのように出汁を良く吸うようになります。
高野豆腐のパサパサした食感は、豆腐が凍って食感が変化したものです。
「高野豆腐」の正式な作り方は、寒い冬の外気を利用します。
冬の寒い日に豆腐を紐で縛ってから、風通しの良い縁側に1晩吊るして、外気の寒さで凍らせながら豆腐を乾燥させて作ります。
現代でも自宅に冷凍庫があれば、どの季節でも簡単に作る事が出来ます。
高野豆腐の日持ち目安
豆腐を冷凍させて作った「高野豆腐」は、常温で半年間保存が出来ます。
ただし上記は、完全に乾燥した状態での高野豆腐の保存期間です。
豆腐を冷凍しただけの場合は、そのまま冷凍保存して1か月後までが安全に食べられる目安です。
どちらも通常の豆腐の状態よりも、長期間保存する事が可能です。
食感が著しく変わるという点さえ注意すれば、冷凍して「高野豆腐」に変えてしまう事が最も豆腐を長期間保存出来る方法です。
自家製「高野豆腐」の作り方
自家製で高野豆腐を作るのは、非常に簡単です。
冷凍庫と、水分を豆腐から抜く為のキッチンペーパー(または布巾)があれば作れます。
※高野豆腐が作れるのは木綿豆腐・絹ごし豆腐・充填豆腐です。塊状態ではない寄せ豆腐は、高野豆腐に加工出来ません。
材料(必要道具)
・豆腐(寄せ豆腐以外のお好み):1丁
・キッチンペーパーまたは布巾
・皿
・平バット
・紐(※無くてもOK)
作り方
(1)豆腐をキッチンペーパー(布巾)で包む
(2)皿に乗せて、1~2時間そのまま放置する
(3)水抜きした豆腐を食べやすい大きさに切る
(4)バッドに重ならないように並べて、冷凍庫に入れて凍らせる
(5)飴色になるまで凍らせる。冷凍庫から出して水気を絞ってから、更に冷凍庫に入れて凍らせる
(6)凍ったら冷凍庫から取り出して、自然乾燥させる
※紐を使って豆腐を1つずつくくり、日が当たらない風通しの良い場所でつるして1週間干すと、水分が豆腐から完全に抜けます。
(レシピ参考元:丸ごと小泉武夫 食 マガジン)
まとめ
豆腐は日持ちがしそうな食品に思えますが、そのままだと余り日持ちしない食品です。
豆腐は木綿豆腐・絹ごし豆腐・充填豆腐・寄せ豆腐の4種類がありますが、いずれも未開封だと賞味期限が切れてから2~3日後までが安全に食べられる目安です。
開封後の場合は、水を取り替えながら冷蔵保存して最大5日後までは安全に食べる事が出来ます。
「1か月以上持つ」と謳っている情報サイトは多いですが、腐る前の非常に痛んでいる状態になっている可能性が高いです。
痛んだ豆腐も食中毒になりやすいので、1か月以上保存したいのなら冷凍して「高野豆腐」に加工しましょう。
豆腐は、なるべく賞味期限内に食べ切るように心がけてください。
1人暮らしの人の場合は、小分けのパックになっている充填豆腐を買う事をおススメします。
充填豆腐は製造から賞味期限日までが長いので、期限内に使い切りしやすいです。