サラダを彩りよくしてくれるコロッとした赤い野菜のラディッシュ。
今回はラディッシュについて基礎知識から歴史、保存方法、レシピまで幅広くご紹介します。
ラディッシュの基礎知識
ラディッシュは和名で二十日大根ということをご存じですか。
ここではラディッシュの基礎知識についてご紹介します。
和名は「二十日大根」
一般的に「ラディッシュ」と呼ばれる野菜は、学名 Raphanus sativus という植物種で、和名では「大根(だいこん)」や「二十日大根(はつかだいこん)」とも呼ばれています。
ただし、一般的には「大根」という呼称は、白い皮を持つ根菜類を指すことが多く、赤やピンクの皮を持つラディッシュは「赤大根(あかだいこん)」や「小蕪(こかぶ)」とも呼ばれます。
ラディッシュの歴史
ラディッシュは、古代エジプトや古代ローマ時代から栽培されてきた野菜の一つです。
古代エジプトでは、ラディッシュを含む野菜や果物がピラミッドの壁画や墓の壁画に描かれており、ラディッシュはエジプト人の食生活に欠かせない重要な野菜であったことがわかります。
日本では江戸時代に入ると、ラディッシュは日本の風土に合わせて栽培されるようになり、食用としても広く親しまれるようになりました。
ラディッシュの種類
ここではラディッシュの種類についてご紹介します。よくサラダに利用されている赤いラディッシュ以外にも様々な種類があるんです。
赤丸ラディッシュ
赤丸ラディッシュは、球形をしたラディッシュの一種で、日本でもよく栽培されている品種の一つです。その名の通り、赤い皮を持ち、白い肉質をしています。形は球形で、直径はおおよそ2〜3cmほどです。
赤長ラディッシュ
赤長ラディッシュは、名前の通り、長い形状をしたラディッシュの品種で、日本でもよく栽培されている品種の一つです。長さは20〜30cm程度で、直径はおおよそ5cm程度です。外皮は赤紫色をしており、白い肉質をしています。
カラフルファイブ
赤色の皮と白い肉質を持つ通常のラディッシュとは異なり、赤色の皮に加えて、紫色、白色、黄色の筋が入っている特徴的な外観をしています。
小型大根
小型大根ラディッシュとは、一般的なラディッシュよりも小さく、球根の直径が2~4cm程度のラディッシュのことを指します。そのため、小型大根ラディッシュとも呼ばれます。
マイクロラディッシュ
マイクロラディッシュとは、一般的なラディッシュよりも小さく、若どりの状態で収穫されるラディッシュのことを指します。直径が1cm以下の非常に小さなラディッシュであり、通常はサラダや料理のトッピングなどに使用されます。
ラディッシュの根に含まれる栄養素
ラディッシュの根にはアミラーゼやビタミンCが含まれています。
それぞれ詳しくご紹介します。
アミラーゼ(別名:ジアスターゼ)
アミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼは、炭水化物を分解する酵素であり、ラディッシュの根に含まれる炭水化物を分解しやすくする役割があります。
また、アミラーゼは、食物を消化しやすくすることで、消化不良や腸の不快感を防ぐ効果があるとされています。
ビタミンC
ラディッシュの根に含まれるビタミンCは、免疫力を高めるために必要な栄養素であり、抗酸化作用も持っています。
ビタミンCは、身体の組織や細胞を修復するためのコラーゲンの生成に必要な栄養素でもあります。また、ビタミンCは鉄分の吸収を促進するため、貧血の予防にも役立ちます。
ラディッシュの根100gあたりには、約15mgのビタミンCが含まれています。
一般的に、成人の1日に必要なビタミンCの摂取量は70~100mgとされています。ラディッシュを食べることで、ビタミンCを手軽に摂取することができます。
ラデッシュの葉の栄養素
ラディッシュの葉には鉄やカルシウム、ビタミン類などが含まれています。
それぞれ詳しくご紹介します。
鉄・カルシウム
ラディッシュの葉には、鉄やカルシウムなどの栄養素が含まれています。
鉄は、赤血球を作るために必要な栄養素であり、貧血の予防に役立ちます。ラディッシュの葉100gあたりには、約1.1mgの鉄が含まれています。
ただし、植物性の鉄は吸収率が低いため、鉄分を補うためには、動物性の食品と一緒に食べるなど、吸収率を上げる工夫が必要です。
カルシウムは、骨や歯を強くするために必要な栄養素であり、筋肉の収縮や神経の伝達にも関与しています。ラディッシュの葉100gあたりには、約250mgのカルシウムが含まれています。
ただし、カルシウムの吸収にはビタミンDが必要であり、十分なビタミンDを摂取することが大切です。また、ラディッシュの葉は生で食べることができますが、加熱すると栄養素が減少するため、できるだけ生で食べることがおすすめです。
ビタミン B1・B2・C
ラディッシュの葉には、ビタミンB1、B2、Cなどの栄養素が含まれています。
ビタミンB1は、糖質の代謝に必要な栄養素であり、神経系の機能を維持するためにも必要です。ラディッシュの葉100gあたりには、約0.05mgのビタミンB1が含まれています。
ビタミンB2は、エネルギー代謝や細胞の成長に必要な栄養素であり、目の疲れや肌荒れの改善にも役立ちます。ラディッシュの葉100gあたりには、約0.14mgのビタミンB2が含まれています。
ビタミンCは、免疫力を高めるために必要な栄養素であり、抗酸化作用も持っています。ビタミンCは、身体の組織や細胞を修復するためのコラーゲンの生成に必要な栄養素でもあります。
ラディッシュの葉100gあたりには、約43mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCは熱に弱いため、加熱すると減少する場合があるため、生で食べることがおすすめです。
β-カロチン
ラディッシュの葉には、β-カロチンという栄養素が含まれています。β-カロチンは、ビタミンAの一種であり、抗酸化作用を持ち、免疫力の向上や肌の健康維持などに役立ちます。
ラディッシュの葉100gあたりには、約2,000μgのβ-カロチンが含まれています。
ただし、β-カロチンは脂溶性ビタミンのため、脂質と一緒に摂ると吸収が良くなります。そのため、ラディッシュの葉を調理する際には、オリーブオイルやバターなどの脂質を使うと、より効率的に栄養素を摂取することができます。
ラディッシュはどの部分も捨ててはいけない
ラディッシュは根と葉の両方を食べることができるため、捨てるところがない野菜と言えます。
根はサラダや薬味として使われることが一般的ですが、スライスしてサンドイッチの具材にする、酢漬けやピクルスにする、炒め物や煮物に加えるなど、調理方法も多彩です。
一方、葉も栄養価が高く、サラダや炒め物、スープやジュースなどに利用されます。また、葉に含まれる成分を利用して、美肌効果のあるスキンケア用品を作ることもできます。
さらに、ラディッシュの種子にも栄養があり、スプラウトとして食べることができます。種子を水に浸けて発芽させ、サラダのトッピングやスムージーに加えると、風味や食感も楽しめます。
ラディッシュの食べ方
多くの栄養素を含むラディッシュですが、ここではいろいろな食べ方や保存方法をご紹介します。
ラディッシュは生食で効率よく栄養がとれる
ラディッシュは、生で食べることができる野菜であり、生のまま食べると、栄養素をより効率的に摂取することができます。
ラディッシュには、水溶性のビタミンCや食物繊維、ポリフェノールなどが含まれています。これらの栄養素は、熱に弱く、加熱調理すると一部が失われてしまいます。
また、ラディッシュの根に含まれるアミラーゼという酵素は、生のまま食べることで、消化を助ける働きがあります。アミラーゼは加熱によって不活性化するため、生のラディッシュを食べると、消化がスムーズになることが期待できます。
ただし、ラディッシュには辛味成分が含まれているため、食べすぎると胃腸に負担がかかる場合があります。また、辛味成分によって、唾液や胃液の分泌を促進するため、胃酸過多の人は食べ過ぎに注意が必要です。
葉っぱはサラダ,スープに入れる
ラディッシュの葉っぱはサラダや汁物に最適な食材の一つです。ラディッシュの葉にはビタミンB1、B2、C、鉄分、カルシウム、β-カロテンなどの栄養素が含まれています。また、ラディッシュの葉には、ラディッシュ本体に含まれる成分とは異なるポリフェノールも含まれており、抗酸化作用が期待できます。
サラダには、ラディッシュの葉を細かく刻んで、ドレッシングをかけるだけで、シャキシャキとした食感が楽しめます。また、スープや煮物には、ラディッシュの葉を細かく刻んで加えると、風味がよくなり、栄養価もアップします。
ただし、ラディッシュの葉には苦味があるため、苦手な人もいるかもしれません。その場合は、ラディッシュの葉を軽く茹でてから使う、または他の野菜や調味料で味を調えるなどの工夫をすると、食べやすくなるかもしれません。
新鮮なラディッシュの見分け方
新鮮なラディッシュの見分け方をいくつか紹介します。
色
ラディッシュは皮が赤く、鮮やかな色のものが新鮮です。色が褪せていたり、茶色っぽくなっているものは古くなっている可能性があります。
形
ラディッシュは球形や楕円形など様々な形がありますが、形が整っていてひび割れていないものが新鮮です。
葉
ラディッシュの葉は鮮やかな緑色で、ツヤがあるものが新鮮です。また、葉がしおれていたり、茶色っぽくなっているものは古くなっている可能性があります。
重さ
新鮮なラディッシュは、水分が多く含まれているため、重みがあるものが良質です。軽いものは水分が少なく、古くなっている可能性があります。
臭い
新鮮なラディッシュは、軽い香りがあります。もし臭いがきつかったり、腐ったようなにおいがしたら、古くなっている可能性があります。
以上のようなポイントに注目することで、新鮮なラディッシュを選ぶことができます。
ラディッシュの保存方法
ここではラディッシュの保存方法についてご紹介します。
葉とヒゲ根を切る
ラディッシュの葉やヒゲ根をカットして保存すると、根とは別に保存することで劣化が遅くなり、長持ちすると言われています。ただし、保存期間はそれぞれ限られており、適切な保存方法を守る必要があります。
ラディッシュの根は、葉とヒゲ根を取り除いた状態でビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。ラディッシュの根の保存期間は、収穫後1週間程度とされています。
一方、ラディッシュの葉やヒゲ根は、ビニール袋や保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。ラディッシュの葉は、切り落としてから3日程度、ヒゲ根は1週間程度保存できます。ただし、葉は鮮度が落ちやすいので、できるだけ早めに食べることが望ましいです。
ラディッシュの根に○○すると長持ちする
ラディッシュの根は水分を多く含んでいるため、適切な保存方法が重要です。
水分を含ませたキッチンペーパーに包むことで、ラディッシュの根を保湿し、乾燥から守ることができます。
そのため、ラディッシュの根を水分を含ませたキッチンペーパーに包んで保存する方法は、効果的な保存方法の一つとされています。
ラディッシュは冷凍保存できる?
ラディッシュは冷凍保存ができますが、そのまま凍らせると食感や風味が損なわれる場合があります。特に生のラディッシュは、凍結すると細胞壁が破壊されてしまうため、食感が落ちてしまいます。
そのため、ラディッシュを冷凍保存する場合は、下処理が必要です。以下は、ラディッシュを冷凍保存する方法の一例です。
- ラディッシュをよく洗い、皮をむきます。
- 好みの大きさに切り分けます。
- ラディッシュを熱湯で2~3分茹でます。
- 水気をよく切ってから、冷凍用の袋や保存容器に入れます。
- 冷凍庫で保存します。
このようにすることで、ラディッシュを冷凍保存することができます。ただし、解凍した後の食感は通常のものとは異なるため、生のラディッシュのようなシャキシャキとした食感を求める場合は、冷凍保存は避けることが望ましいでしょう。
ラディッシュの葉を使ったおすすめレシピ
ここまでラディッシュの葉にも多くの栄養が含まれていることをご紹介してきました。しかし、葉の活用法がわからない方も多いのではないでしょうか。ここではラディッシュの葉も活用できるおすすめレシピをご紹介します。
ラディッシュの煮浸し
【材料】
- ラディッシュの葉 ・・・1束
- ラディッシュの根 ・・・2-3本
- だし汁 ・・・400ml
- 醤油 ・・・大さじ1
- みりん ・・・大さじ1
- 塩 ・・・小さじ1/4
- ごま油 ・・・小さじ1
【作り方】
- ラディッシュの葉と根をよく洗って水気を切ります。
- ラディッシュの根は1cmほどの輪切りにします。
- 鍋にだし汁、醤油、みりん、塩を入れて火にかけます。
- 沸騰したら、ラディッシュの葉と根を加えて弱火で5分程度煮ます。
- 器に盛り、ごま油をかけて完成です。
ラディッシュの葉と根を一緒に使うことで、よりバランスの良い栄養素を摂取することができます。ぜひ、試してみてください。
ラディッシュの葉のふりかけ
【材料】
- ラディッシュの葉・・・適量
- ごま・・・大さじ2
- 鰹節・・・小さじ1
- 塩・・・少々
【作り方】
- ラディッシュの葉をよく洗い、水気をよく切ってから細かく刻む。
- フライパンにごまを入れ、中火で軽く炒ります。
- 鰹節を加え、香りが立ってきたら火から下ろします。
- 炒ったごまと鰹節をすり鉢に入れ、塩を加えてよく混ぜます。
- 最後に刻んだラディッシュの葉を加えて混ぜ合わせ、完成です。
お好みで、唐辛子や胡麻油などを加えるのもおすすめです。保存は密閉容器に入れ、冷暗所で保存してください。
ラディッシュの中華風炒め
ラディッシュの中華風炒めで葉も使ったレシピをご紹介します。
【材料】
- ラディッシュの根・・・2本
- ラディッシュの葉・・・適量
- 豚肉(薄切り)・・・150g
- にんにく(みじん切り)・・・1かけ分
- しょうが(みじん切り)・・・小さじ1
- 酒・・・小さじ1
- しょうゆ・・・大さじ1
- 鶏がらスープの素・・・小さじ1/2
- 片栗粉・・・適量
- ごま油・・・適量
【作り方】
- ラディッシュの根を皮をむき、半月切りにする。葉も根と同じ大きさに切る。
- 豚肉に片栗粉をまぶし、適当な大きさに切る。
- フライパンで油を熱し、にんにく、生姜を温めてオイルに香りを移す
- 豚肉を加え、焼き色がつくまで炒める。
- ラディッシュの根を加え、しょうゆ、酒、鶏がらスープの素を加えて炒める。
- ラディッシュの葉を加え、ひと煮立ちさせる。
- 器に盛り付けて完成。
ラディッシュの葉も根と一緒に炒めればさっぱり食感に仕上がります。また、鶏がらスープの素を加えることで、旨味が増し、深い味わいになります。ご飯によく合う一品です。