いつの時代も甘い食べ物や飲みものは人々を魅了してきました。
現代においては、低糖質や低カロリーかつ十分な甘みを出すことのできる人工甘味料がさかんに用いられています。
しかしその歴史の浅さや、人工的に合成された物質であることなどから、その安全性はたびたび議論されてきました。
このページでは、現在日本で使用されている人工甘味料の危険性をランキング形式でご紹介します。
人工甘味料とは
そもそも人工甘味料とは、読んで字のごとく人の手によって科学的に作られた甘味料のことで、大きく分けると糖アルコールと合成甘味料の2種類が存在します。
糖アルコールとは自然界に存在する成分を人工的に作り出した甘味料、合成甘味料は自然界に存在しない成分を人工的に作り出した甘味料です。
対してサトウキビやハチミツ、メープルなどの自然由来の甘味を天然甘味料と呼びます。
種類にもよりますが、一般的に使用されている人工甘味料は天然甘味料と比較すると
- 血糖値が上がりにくい
- 甘味が強い
- 甘味に対するカロリーが低い
- 虫歯になりにくい
- 甘味以外の味や風味がきわめて弱い
といった特徴があり、食品や清涼飲料水をはじめとしたさまざまな製品に利用されています。
人工甘味料が身体に与える影響
では、人工甘味料は人体にどのような影響を与えるのでしょうか。
まず糖アルコールですが、血液中に吸収されないため血糖値を上げづらい反面、胃腸内で消化・吸収の妨げとなったり、短期間で多量に摂取すると下痢を引き起こすことがあります。
一方合成甘味料はというと、厚生労働省が定めた1日あたりの目安摂取量の範囲内であれば生涯にわたって毎日摂取したとしても、健康への影響はないとされています。
しかし、研究機関によれば合成甘味料の過剰な摂取は肥満や糖尿病発症の危険性を高め、腸内環境を悪化させることが示唆されています。
出典:独立行政法人 農畜産業振興機構「人工甘味料と糖代謝」
また先にも述べたように開発されてから日が浅いため、長期間にわたって摂取した場合人体にどのような影響を及ぼすのかよく分かっていないのが実情です。
人工甘味料危険度ランキング
それでは、ここからは日本国内で使用されている人工甘味料の名称とともに、具体的にどのような影響が確認されているのか、危険度をランキング形式でご紹介します。
13位 エリスリトール
多量摂取した場合でも下痢になりにくく、また人体に吸収されることなく尿として排出されるために最も安全性の高い人工甘味料とされています。
エリスリトールについての論文
【アメリカの論文】血中のエリスリトール濃度が高い人は低い人に比べて、以下の健康リスクが約2倍に上がると報告。
- 脳卒中
- 心臓発作
- 心血管疾患
エリスリトールが血栓を生成するからこのような疾患につながる可能性。
ただし、エリスリトール濃度が高い人=エリスリトールの摂取量が多いと言うわけではないことに注意。いろんな要因でエリスリトールは体の中で作られる。
その上で、健康な被験者、つまり、エリスリトール濃度が低い人にエリスリトールを摂取させた場合、血中エリスリトール濃度が血栓症につながる値をはるかに超えるほど上昇し、それが2日以上継続した。
要するに、体の内側からも、外側にもエリスリトール濃度が上がる要因はあり外から直接的にエリスリトールを取るのは注意が必要だとしている。
12位 マルチトール
還元麦芽糖とも呼ばれ、食品中のでんぷんを加工して作られています。人体への影響としては下痢気味になることが指摘されていますが、人工甘味料のなかでは安全性の高い部類であるといえます。
ただし、マルチトールは大量に摂取すると下痢や胃腸の不調を引き起こす場合があるため、適量を守って摂取することが重要です。
11位 キシリトール
歯科関連に興味のある方なら必ず耳にしたことがあるであろう、キシリトール。こちらも実は人工甘味料の一種です。
さわやかな甘みがありながら虫歯になりにくく、歯を丈夫にする作用があることからガムや清涼菓子、歯磨き粉などに利用されています。こちらも多量に摂取すると下痢気味になりますが、その安全性の高さからアメリカでは「いくら摂取してもよい食品」として扱われています。
しかしキシリトール入り製品の多くは数種類の人工甘味料を複合的に利用していることが多く、なかには危険性の高い人工甘味料が含まれていることもあるため、選び方には注意が必要です。
10位 ラクチトール
甘味料としてのほか、下剤として用いられることもある人工甘味料です。糖アルコールの特徴として挙げられるように、多量に摂取した場合は下痢を引き起こすとされています。
一般的には安全であり、多くの人々にとって問題ありませんが、一部の人々には副作用が現れる場合があります。
まず、ラクチトールは一部の人にとって消化が難しいことが挙げられます。
特に、ラクトース不耐症の人々は、ラクトースを分解するための酵素であるラクターゼを不十分に産生するため、ラクチトールを摂取すると消化不良や腹痛、下痢などの症状が現れる場合があります。
さらに、一部の人々ではアレルギー反応が起こることがあります。アレルギー症状としては、じんましん、かゆみ、蕁麻疹、呼吸困難などが挙げられます。アレルギーの症状が現れる場合は、直ちに医師に相談する必要があります。
総じて言えば、一般的にはラクチトールは安全ですが、個々の体質や健康状態によっては副作用が現れる可能性があります。
9位 還元水飴
水飴を化学的に処理して得られる糖アルコール類の甘味料です。甘みを付ける目的のほか、物質の乾燥を防ぎ保存性を高めるために使用される場合もあります。
腸内で消化されにくい性質があるため、大量に摂取すると下痢になる可能性があります。
また、還元水飴は糖分を含んでいるため、血糖値への影響があります。糖尿病患者や血糖値管理が必要な人は、摂取量を制限する必要があります。
還元水飴がよく使われる食品群
- ソフトドリンク
- 菓子類
- アイスクリーム
- ジャムやシロップ
- 調味料やソース
8位 ソルビトール
天然の食物にも含まれており、じゃがいもデンプンやとうもろこしデンプン由来の天然の糖アルコールです。口に含むとひんやりした感触があるので、清涼菓子に使用されることの多い人工甘味料です。
ソルビトールは体内で代謝されずに排泄されるため、低カロリーであり、糖尿病患者やダイエット中の人に適しているとされています。
食品のほかには化粧品や医薬品にも使用されており、危険性はさほど高くないとされていますが、細胞内に蓄積されやすいという特徴があります。
眼球の水晶体に蓄積された場合には白内障を引き起こすとされており、体内にソルビトールを蓄積しやすい体質となっている糖尿病の方は特に注意が必要です。
7位 マンニトール
身の回りの食品にはほとんど利用されておらず、主に医療現場で医薬品として用いられる人工甘味料です。重篤な副作用として急性腎不全、高カリウム血症、低ナトリウム血症などが報告されています。
6位 アドバンテーム
日本の企業が開発し2014年に日本で開発・認可された、砂糖の14,000〜48,000倍という驚異的な甘みを持つ比較的新しい人工甘味料です。
認可に際して動物と人間の両方で臨床試験が行われました。胃腸で吸収されないため血糖値の上昇は見られなかったほか、毒性や発がん性はなく、虫歯・肥満の直接的な原因にもらないとして安全性が高く評価されました。
しかしラットに対する高用量の実験では肛門に青白い腫れや糞便組成の変化がみられたこと、人間が数十年単位で摂取した場合の影響については分かっていないことから、慎重に向き合う必要がありそうです。
5位 サッカリン
世界最古の人工甘味料です。砂糖の700倍の甘みを持ち、第二次世界大戦中には砂糖の代替品として盛んに用いられた過去があります。
1960年ごろにはラットを用いた実験では発がん性が認められたために一時は使用禁止となりましたが、ヒトやサル、ハムスターでは有害性を認められなかったことと、サッカリン中の不純物に問題があったことが判明しました。
マイナスイメージがあるものの、日本では未だに利用されています。
サッカリンは、一般的には食品や飲料品の甘味料として使用されています。
例えば、炭酸飲料、お茶、コーヒー、ソフトドリンク、菓子などです。また、サッカリンは医薬品や化粧品にも使用されることがあります。
サッカリンの発がん性については、人間を対象とした多くの研究が行われました。これらの研究の結果、サッカリンの摂取と癌の発生との間には明確な関連性は見つかっていません。
現在の科学的知見からは、サッカリンが一般的な摂取レベルで癌を引き起こすリスクは低いとされています。
このように適切な用量下における人体への発がん性は否定されましたが、きわめて異常な高用量では遺伝子を損傷し、がん細胞の発生を誘発することが分かっているため、なるべく避けるのがベターでしょう。
一部の国では、サッカリンを含む食品や飲料のラベルに警告表示を義務付けしている場合があります。
4位 ネオテーム
アステルパームの改良型として開発されたネオテームは、生成の際に最も危険な物質とされる3,3-ジメチルブチルアルデヒドを使用しています。
引火性が高く、皮膚や目、呼吸器官に刺激をもたらす物質として危険表示が義務付けられています。
開発メーカーや各国の公的機関は毒性や発がん性はないとしていますが、アステルパームと同様に体内でメタノールが発生することで人体に悪影響を及ぼすことが示唆されています。
3位 アセスルファムK
日本やアメリカが公的に運営する機関によれば発がん性、毒性、副作用なし、カロリーゼロで血糖値やインスリン分泌に影響を与えず、肥満の要因にはならないため安全性は高いと認定されています。
すっきりとした甘さが特徴の人工甘味料で、熱や酸、塩素に強いため加熱される食品や長期間保存のできる清涼飲料水によく利用されます。
アセスルファムKそのものの危険性は確認されていないものの、製造過程で塩化メチレン(ジクロメタン)という工業溶剤を使用しています。この溶剤はきわめて毒性が強く、胆管癌を引き起こすと厚生労働省が認めています。
またアセスルファムKの中に残留する可能性は否定されていません。仮に摂取したとしても胃腸から吸収されることはないとされていますが、忌避したくなるのが人間の感情ではないでしょうか。
2位 スクラロース
世界80か国以上で公的に安全性が認められ広く使用されている人工甘味料のスクラロースですが、農薬の開発中に偶然発見された歴史があります。
その化学式を見ていると、なんと塩素(Cl)が含まれていることがわかります。塩素そのものはきわめて毒性と侵食性が高く、皮膚、眼、鼻、喉、呼吸器系粘膜に付着すると激しい痛みを及ぼしたり、凍傷が起こることがあります。
また高濃度の塩素ガスを吸入すると、肺水腫、肺炎、呼吸困難等を発 症して死亡する可能性がある物質です。
スクラロースそのものには塩素のような毒性は認められていませんが、加熱すると塩素ガスが発生するため取り扱いには注意が必要です。
胃腸から吸収されることはないとされていましたが、近年の研究によると体内で代謝されたのち脂質に蓄積されることが分かっています。
脳はそのほとんどが脂質によって構成されており、脳への蓄積と影響については未知数です。
つまり、体内に入ってからどのようなふるまいをするのか分かっていないということです。そのような物質は避けておいて損はないはずです。
1位 アステルパーム
安全性と有害性について最も盛んに議論されている人工甘味料です。日本をはじめ世界中で広く利用されていますが、体内で吸収・分解される過程で有毒性の高いメタノールが発生することがわかっています。
国の認可を受けて使用されていること、厚生労働省が規定する摂取量を守っていれば健康に影響はないとしていることからその安全性は保障されているという声がある一方で、脳腫瘍や白血病、知能低下・認知症・心疾患・アトピー・不眠症などの症状を誘発するとの報告もなされており、看過すべきではありません。
一部の健康食品やダイエット食品に使用されることが多いので、健康に気をつけたはずが、逆に健康を害することになりかねません
以下、アスパルテームについてのニュース記事です
WHOの説明では、体重60─70キロの人の場合、アスパルテームの許容摂取量は炭酸飲料で9―14缶に相当し、ほとんどの人の通常消費量の約10倍に達する。WHOの栄養・食品安全担当ディレクター、フランチェスコ・ブランカ氏は「頻繁に摂取しないならば、大半の消費者にとってリスクは生じないことがうかがえる」と述べた。
NewsWeek
上記記事では大量に摂取しなければ直ちに健康を害するわけではないという趣旨で書かれています。
人工甘味料を摂取しないために日ごろから気をつけるべきこと
原材料ラベル表示を必ず確認する
日本では加工食品に対して原材料を表示することが義務付けられています。
パッケージ裏面の原材料表示には使用されている原材料が多いものから順に明記されていますから、人工甘味料の摂取を避けるための判断材料にすることができます。
知識を身につける
飲食物があふれかえっている現代において、人工甘味料が含まれていない製品を選ぶというのはなかなか大変なことです。
生活から完全に排除することは難しくとも、まずは先述した危険度ランキングを参考に危険な製品は避け、より安全だと思えるものに置き換えることはできます。
正しく知って賢く選ぶことが、自身や大切な人の健康を守ることにつながります。
味覚を育てる
人工甘味料の甘さは人間が生まれながらにして持っている味覚を鈍らせ、必要以上の甘味を欲するようになったり、食べることそのものに対して鈍感になりついつ食べ過ぎてしまうようになることが指摘されています。
人工甘味料が肥満をもたらすといわれているのはこのためです。
極力不自然な食品は避け、生まれ持った味覚を育てることで、人工甘味料なしでも十分食事に満足できるようになります。
加工食品の摂取を減らす
加工食品には多くの人工甘味料が含まれていることがあります。できるだけ自炊や新鮮な食材を使った料理をすることで、摂取を減らすことができます。
スムージーやジュースを手作りする
スムージーやジュースを手作りすれば人工甘味料を避けることができます。自分で果物を選んで、甘さを調節することもできます。
健康的な飲み物を選ぶ
人工甘味料が含まれている飲み物を避け、水やハーブティー、炭酸水などを選ぶことが重要です。
まとめ
このように、現在の日本ではたくさんの人工甘味料が使用されています。
安全だとする声がある一方で、国内外の研究機関からは危険だとする指摘や報告があるのも事実で、常に情報を取り入れ、判断していかなくてはなりません。
長期的に摂取するリスクや他の物質との組み合わせが健康にどう影響するのか、まだよくわかっていない部分も多く、慎重に付き合っていく必要があります。