近年女性を中心に人気が急上昇している「アフタヌーンティー」。
アフタヌーンティーの人気に併せて、アフタヌーンティーのお供の代表格である「スコーン」も人気が高まっています。
しかし外国の食べ物であるスコーンの正式な食べ方については、ご存じでしょうか?
今記事ではアフタヌーンティーに欠かせない英国式スコーンと、スコーンの美味しい食べ方について詳しくご紹介します。
アフタヌーンティーとは?
近年、多くのホテルやカフェで提供されている「アフタヌーンティー」。
こちらは19世紀にイギリスで始まった伝統文化のひとつです。
3段式の専用スタンドに、スコーン・サンドイッチなどの軽食・ケーキなどの洋菓子を乗せて、紅茶と一緒に楽しみます。
元々は昼食から夕食までの時間に食べられていた、貴族の間食習慣です。
イギリスの貴族・第7代ベッドフォード侯爵夫人のアンナ・マリア・ラッセルが考案したと伝えられています。
現在のイギリスでは、貴族以外にも観光客へのサービスや一般家庭でも広く普及しています。
日本でも自作で作る事が出来ます。また、ホテル等でも食べる事が出来ます。
本場イギリス式アフタヌーンティーの基本的な内容は、スタンドの1段目にプレーンスコーン、2段目にスモークサーモンまたはキュウリのサンドイッチ、一番上の3段目にペイストリー(ビクトリアスポンジケーキ・フルーツケーキ等)を乗せます。
日本のホテル等で食べられるアフタヌーンティーは、ケーキの代わりに和菓子がスタンドに乗っていたり季節の果物を使ったお菓子になっていたりと、各施設ごとにアレンジがされています。
スコーンとは?
スコーンは、小麦粉とバターを使って作る焼き菓子です。
イギリスでは、女の子が一番初めに作り方を覚えるお菓子だといわれています。
小麦粉等とバターを練って型抜きしてオーブンで焼くだけなので、子供でも簡単に作る事が出来ます。
自宅でもオーブンさえあれば簡単に作れるお菓子ですが、ホテル等で提供されているスコーンは上質な材料が使われており業務用オーブンで焼かれているので、家では出せない本格的な味が楽しめます。
スコーンは2種類ある
イギリスの文化であるアフタヌーンティー等で食べるのは「英国式スコーン」ですが、スコーンは実は2種類あります。
もう1つは「アメリカ式スコーン」と呼ばれるものです。こちらは英国式スコーンとは全く異なります。
混在しやすいので、英国式スコーンとアメリカ式スコーンの違いをお教えします。
2つのスコーンの特徴は、以下の通りです。
英国式スコーンの特徴
・円柱形、もしくはサイコロ形
・甘味が少ない(生地に砂糖を余り入れない)
・クロテッドクリームやジャムなどで味付けして食べる
・朝食や午後のティータイム(アフタヌーンティー)で良く食べられる
・紅茶と一緒に食べる
アメリカ式スコーンの特徴
・切り分けたケーキのような、厚みのある三角形
・甘味がある(生地に砂糖が加えられている)
・ドライフルーツやナッツ、チョコレートなどが入っている
・ボリュームがあるので単品でデザートや軽食として食べられる
・カフェで主に売られている
・コーヒーと一緒に食べる
英国式スコーンの美味しい食べ方
アメリカ式スコーンは味がしっかりとあるのでそのまま食べられますが、英国式スコーンはシンプルな味なので、食べ方に工夫が必要です。
英国式スコーンの伝統的作法となる基本的な食べ方を、ここからご紹介します。
スコーンは熱々の状態で食べる
先ず、スコーンを熱々の状態にします。
焼きたてのスコーンが一番ですが、市販でスコーンを買った場合はオーブントースターで1~2分程焼いて、温めておきましょう。
熱々の状態の方が、後に述べるクロテッドクリームやジャムが柔らかくなってスコーンの中まで味が染み込み、美味しく食べる事が出来ます。
自家製で作る!英国式スコーンの作り方
焼きたての英国式スコーンが食べたい人は、是非ともご自宅で作ってみましょう。
【材料(直径6cm/7個分)】
・小麦粉(薄力粉):250g
・ベーキングパウダー:大さじ1
・グラニュー糖:50g
・無塩バター:60g
・塩:小さじ3分の1
・卵黄:卵Mサイズ1個分
・牛乳:100CC+適量
【作り方】
(1)材料を全て冷蔵庫で冷やしておく
(2)牛乳100CCと卵黄を混ぜて卵液を作る。卵液は冷蔵庫に入れて冷やす。オーブンの天板にオーブンシートを敷いておく
(3)薄力粉・ベーキングパウダー・グラニュー糖・塩を混ぜる。万能こし器でアルミホイルを敷いた調理台の上に、混ぜた粉をふるい落とす。
(4)粉の上に無塩バターを置き、包丁かスケッパーであずき大になるまでバターを細かく刻む。
(5)細かくしたバターを粉と指の腹でこすり合わせて、粉チーズのようなサラサラのそぼろ状になるまで混ぜ合わせる。
(※バターを体温で溶かさないように。溶けてきたらビニール袋などに材料を入れて冷蔵庫で冷やしてから、再度混ぜ合わせる)
(6)バターを混ぜ合わせた粉を山形にまとめる。中央に丸く窪みを開けて、中に卵液を流し入れる
(7)内側から少しずつ粉の山を崩しながら混ぜ合わせる
(8)スケッパーかゴムベラで生地をひとまとめにして、粉っぽさが無くなるまでこねるように混ぜる
(9)ボールに生地を入れて、冷蔵庫で冷やす(30分~1時間)
(10)オーブンを180℃に温めておく
(11)打ち粉を振った調理台で、生地をめん棒で2.5cmの厚さになるまで伸ばす
(12)直径約6cmのコップを使って型抜きする。生地が余ったら、まとめてから伸ばして型抜きする
(13)天板に型抜きした生地を5cm間隔で並べる。刷毛を使って牛乳を表面に塗ってから、180℃のオーブンで生地が膨らんで表面がきつね色になるまで(約20分)焼く
(レシピ参考元:オレンジページnet「プレーンスコーン」)
スコーンを横半分に手で割る
焼きたて、または温めて熱々にしたスコーンを、真ん中から横半分に割ります。
スコーンは器具を使わなくても、手で簡単に割れます。
クロテッドクリームを乗せる
半分に割ったスコーンの割った面(ギザギザしている側)に、クロテッドクリームを乗せます。
クロテッドクリームは、イギリスなどで作られている独自の乳製品です。
クロテッドは英語で「凝固した」という意味です。脂肪分の多い牛乳を煮詰めて1晩置き、表面で凝固している脂肪分を集めたものがクロテッドクリームです。
バターと生クリームの中間のような味わいが特徴です。イギリスでは南西部にあるデボン州、コーンウォール州で古くから作られています。
クロテッドクリームの入手方法
クロテッドクリームは、百貨店や輸入食料品店で手に入ります。
どちらも近場に無い人の場合は、通信販売でも手に入れる事が出来ます。
しかし通販を使うと送料が掛かるので、躊躇してしまいやすいです。
クロテッドクリームが用意出来ない場合は、市販の生クリームを使って代用品が作れます。
生クリームを用いた「クロテッドクリーム風」の作り方
(1)よく冷やした生クリームを蓋付きの瓶に入れる
(2)蓋を閉めて、クリーム状になるまで振る(約5分)
生クリームは高脂肪のものを選びましょう。
クロテッドクリームの方がサッパリとした味わいですが、代用品でもスコーンを美味しく楽しめます。
甘いジャムを乗せる
クロテッドクリームと共に英国風スコーンに欠かせないものが、甘いジャムです。
いちごやラズベリーなどのベリー系ジャムのほか、イギリスではマーマレード等の柑橘系ジャムもスコーンに良く乗せて食べられています。
こちらもスコーンを割ったギザギザの面に乗せます。クロテッドクリームと同じくらいの量で、たっぷりと乗せましょう。
スコーンに合うジャム
・イチゴジャム
・マーマレード
・ラズベリージャム
・クランベリージャム
・レモンジャム
・りんごジャム
・ピーチジャム
・マロンジャム
・サツマイモジャム
甘味が少ない英国風スコーンは、基本的にどんなジャムとも相性が良いです。
ジャムの他に、ハチミツや砂糖入りのピーナッツバターを乗せて食べても美味しいです。
紅茶と一緒に楽しむ
英国式スコーンは、基本的には紅茶と一緒に楽しみます。
紅茶には特に決まった種類がありません。お好みの紅茶をスコーンと一緒にいただきましょう。
紅茶は非常に沢山の種類がありますが、英国式スコーンに合う紅茶を幾つかご紹介します。
英国式スコーンと一緒に楽しめる主な紅茶の種類
・ダージリン
紅茶の代表格であるダージリンは、世界三大銘茶の1つともいわれています。
(※あとの2つはウバとキーマンです。全て紅茶です)
ダージリンはインド北東部のダージリン地方で摘まれている茶葉です。
独特の香りと味わいが特徴で、摘む時期によっても味が変わります。
・アッサム
ダージリン同様に紅茶の代表格であるアッサムは、インド北東部のアッサム地方で収穫される茶葉です。
濃厚な味わいで独特の甘い香りがあるのが特徴です。
・ニルギリ
知名度は低いですが「紅茶のブルーマウンテン」といわれるほど人気がある茶葉です。
南インドのニルギリ丘陵で摘まれる紅茶の総称で、爽やかでフルーティな香りとスッキリとした味わいが特徴です。
・アールグレイ
アールグレイは「フレーバーティー」と呼ばれる、紅茶葉にフルーツやスパイス等で香り付けをした紅茶の1つです。
フレーバーティーの代表格であるアールグレイは、紅茶葉にミカン科の柑橘類ベルガモットで香り付けをしたものです。
名前の意味は「グレイ伯爵」で、イギリスに実在した人物が由来となっています。
ベルガモットは、レモンとオレンジが混ざったような苦みのある爽やかさが特徴です。
・レディグレイ
レディグレイもフレーバーティーの1つです。
紅茶葉にレモンピールとオレンジピールオイルが加えられています。
アールグレイよりもクセがない爽やかな味と香りが特徴です。
・チャイ
チャイはシナモンやクミン等のスパイスが入った「インドチャイ」と、砂糖を多めに加えて甘くする「トルコチャイ」があります。
トルコチャイは紅茶自体が凄く甘いので、インドチャイの方がアフタヌーンティーのお供の紅茶にはおすすめです。
クリームとジャムの乗せ方で名前が変わる!
英国式スコーンはクロテッドクリームとジャムを乗せて食べますが、乗せる順番によって作法の名前が変わります。
名前の由来は、イギリスの南西部にあるデボン州とコーンウォール州です。
どちらもクロテッドクリームの生産地ですが、クリームとジャムの乗せ方が異なります。
デボンシャー式
スコーンにクロテッドクリームを乗せてから、ジャムを上に乗せて食べると「デボンシャー式」になります。「デボン式」とも呼ばれます。
コーンウォール式
スコーンにジャムを乗せてから、上にクロテッドクリームを乗せて食べるのが「コーンウォール式」です。
スコーンを美味しく食べて英国文化を楽しみましょう!
アフタヌーンティーなどで食べられる英国式スコーンは、シンプルな味なのでクロテッドクリームとジャムを乗せて食べます。
アフタヌーンティーは3段式の専用スタンドに、スコーンの他にもケーキやサンドイッチ等も乗せて食べますが、スコーンと紅茶だけでもスコーンは美味しく楽しめます。
スコーンと紅茶だけの組み合わせは「クリームティー」と呼びます。朝食等で良くされる組み合わせです。
熱々のスコーンにクリームとジャムをたっぷりと乗せて、イギリス貴族のような優雅なティータイムを過ごしてみては如何でしょうか。