クッキーは少ない材料で手軽に作れる、手作りお菓子の定番です。
ですが材料のひとつである「バター」は高価な食品なので、スーパーで売っていても気軽に買いにくいです。
なるべく材料費が安く済むようにサラダ油をバターの代用品として使う人は多いですが、サラダ油を使って作ったクッキーは、一般的に不味いと良く言われます。
この記事を読んでいるあなたも、そのように思っているのではないでしょうか?
結論をいうと、全くそんな事はありません!サラダ油を使っても、美味しいクッキーは作れます!
今回は「失敗するバターの代用品」だと誤解されているサラダ油を使っても美味しく作る為のコツについて、様々なクッキーのレシピを併せてご紹介します。
- 何故サラダ油を使ったクッキーは不味いと言われるのか?
- クッキー作りでバターの代用としてサラダ油を使う時の注意点
- サラダ油で作る美味しいクッキーレシピ
- サラダ油の特徴を理解して、美味しいクッキーを作りましょう!
何故サラダ油を使ったクッキーは不味いと言われるのか?
サラダ油を使ってクッキーを作ると「味がしない」「ベチャベチャする」「生臭い」等といった不評がよくされます。
しかし上記のような失敗をしてしまう原因は、実はサラダ油の使い方を間違っている事が原因なのです。
バターはお菓子や料理に油分を含ませる事と共に、独自の役割を持っています。
バターが持っている役割を知る事で、サラダ油をバターの代わりに使っても失敗しにくくなります。
サラダ油ではバターのような「風味」が付かない
バターは牛乳の脂肪分を固めて作った乳製品です。
脂質を多く含む食品で、主に油分として料理やお菓子に使われます。
しかしバターには、もっと重要な役割があります。
それは「風味付け」です。
バターを入れる事で、バターが持つ独特の風味とコクが料理やお菓子に加わって美味しくなるのです。
サラダ油は、バターのような「風味」を加える事が出来ません。
風味が無いサラダ油を何も考えずに使ってしまうと、「ベチャベチャする」「生臭い」「味がしない」不味いクッキーを作ってしまいやすいです。
クッキー作りでバターの代用としてサラダ油を使う時の注意点
以上の点を踏まえた上で、サラダ油をバターの代用品として使う際の注意点を以下にて述べます。
これらを意識しながらクッキーを作ると、バターを使ったクッキー同様の美味しい手作りクッキーを楽しむ事が出来ます。
新鮮なサラダ油を使う
バターは非常に酸化しにくい食品です。
その反面、サラダ油は非常に酸化しやすい食品です。
酸化したサラダ油は生臭くなります。
粘り気も強くなるので古いサラダ油をクッキーに使うと、ベチャベチャした食感を生みやすくなります。
クッキーにサラダ油を使う場合は、色が薄くてサラサラしている新鮮なものを使いましょう。
サラダ油の使用期限は、開封後1か月で非常に短いです。
酸化が進んだ古い油は「トランス脂肪酸」に代わってしまっています。
トランス脂肪酸は、脳卒中や心筋梗塞等の動脈硬化を引き起こす原因になります。
また、トランス脂肪酸になった油は腐ったような状態になっていますので、下痢や食中毒を引き起こしてしまう事もあります。
サラダ油をクッキー作りで使う際は新鮮な状態の油を使えるように、使い切りしやすい小さな容器の油を材料と一緒に購入して、作る時まで開封しないようにしておきましょう。
バターを使うクッキーのレシピで作らない
ネットや市販の手作りクッキーの材料キットに載っているレシピは、基本的にバターを使ったものです。
先程述べた事の繰り返しになりますが、バターをお菓子に入れる目的は油分と一緒に「風味」を付ける為です。
風味をより多く加えられるように、バターの場合は多めの量でレシピに書かれています。
サラダ油の場合は、液体なので少量でも生地がまとまります。
固形食品のバターを使うクッキーのレシピで作ると「入れ過ぎ」の状態になってしまい、結果としてベチャベチャした不味いクッキーになってしまいます。
サラダ油を使ってクッキーを作る場合は、適量が書いているサラダ油を使ったクッキーのレシピを参考にしましょう。
生地に少しずつ油を加えて「乳化」させる
サラダ油は分離もしやすいです。
油が水と分離した状態でお菓子を作ると、舌触りが非常に悪くなります。
舌触りが悪いと、サクサクやしっとりといったお菓子の美味しい食感が失われてしまいます。
美味しいお菓子を作る為には、生地と油が上手く混ざり合っている「乳化」状態にさせる事がとても重要です。
バターも分離しやすい食品ですが、バターの場合は冷やした状態で小麦粉等と混ぜ合わせると、生地とバターが簡単に乳化します。
もしバターが体温で溶けてしまった場合でも、生地ごと冷蔵庫で冷やしてから混ぜ直せば、乳化状態にさせる事が出来ます。
その一方でサラダ油の場合は、分離した状態で混ぜ合わせてしまうと生地を冷蔵庫でいくら冷やしても分離したまま戻りません。
サラダ油でクッキーを作る場合は、サラサラした液状の油を分離させずに生地に上手く馴染ませて、乳化させる事が大切です。
サラダ油を卵や生地に少しずつ入れて混ぜ合わせる事で油が乳化した状態になり、サクサクした美味しいクッキーに仕上がります。
別の食品を使って風味を付ける
サラダ油だけではクッキーにバターのような風味を付けられないですが、他の食品を使う事で風味をクッキーに加える事が出来ます。
手軽に風味付けが出来る食品は、バニラエッセンス・ナッツ・チョコレート・ココア・抹茶・レモン汁・ドライフルーツ等があります。
またバターと同じ乳製品であるチーズも、風味付けの食品として使えます。
クッキーに使うチーズは、クセがなくサッパリとした味わいにしたい場合はパルメザンチーズ、チーズ特有のコクがあるクッキーにしたい場合はチェダーチーズがおすすめです。
サラダ油で作る美味しいクッキーレシピ
ここからは、バターの代わりにサラダ油を使って作る、美味しい手作りクッキーのレシピを幾つかご紹介します。
クッキーは様々な材料を使って、様々な形で作れます。今回は6種類のクッキーのレシピをそれぞれご紹介します。
初心者でも失敗しにくい「キューブ型クッキー」
先ず最初にご紹介するのは、サイコロ状の「キューブ型クッキー」です。
このタイプのクッキーは生地の厚さが均一になりやすいので、失敗しにくいです。
お菓子作り初心者にもおススメの手作りクッキーです。
さらに今記事でご紹介するレシピは全ての材料を混ぜて包丁で切るだけなので、非常に簡単です。
サラダ油「キューブ型クッキー」材料
・薄力粉:80g
・砂糖:25g
・サラダ油:25g
・塩:ひと摘まみ
・バニラエッセンス:適量
サラダ油「キューブ型クッキー」作り方
(1)ボウルに材料を全て入れて、ゴムベラで混ぜ合わせる
(2)程良く混ざったら、手でこねてまとめる
(3)生地を1cm程の厚さに伸ばす
(4)包丁で20個分になるように縦横に切る
(5)菜箸で角切りにした生地に4つずつ穴を開ける(※開けなくても構いません)
(6)天板に乗せたオーブン用シートに生地を並べる
(7)170℃に熱したオーブンで13分~15分焼く
(レシピ参考元:Mizuki公式ブログ)
定番の「型抜きクッキー」
クッキーの定番である、型抜きクッキーのレシピです。
サラダ油「型抜きクッキー」材料
・薄力粉:200g
・砂糖:60g
・塩:ひと摘まみ
・卵:Mサイズ1個(50g)
・サラダ油:40g
※バニラエッセンスを加えると風味が付きます。
サラダ油「型抜きクッキー」作り方
(1)ポリ袋に小麦粉、砂糖、塩を入れてよく振り混ぜる
(2)卵とサラダ油を入れてよくもみこむ
(3)綿棒で適切な厚さまで伸ばしてから、型で抜く
(4)天板の上に敷いたオーブンシートの上に並べる
(5)170℃に熱したオーブンで10分~15分焼く
(レシピ参考元:栄養士*misacoro*のおいしいブログ)
棒状にして切るだけ「オイルクッキー」
このクッキーは型抜きクッキーの生地にも応用出来ますが、レシピでは棒状に伸ばして包丁で切って作ります。
サラダ油とバニラオイルの、2種類の油を使って作ります。
バニラオイルはスーパーやコンビニで簡単に手に入ります。
サラダ油「オイルクッキー」材料
・卵:Sサイズ1個(30g)
・グラニュー糖:30g
・サラダ油:40g
・バニラオイル:2滴
・薄力粉:100g
サラダ油「オイルクッキー」作り方
(1)ボウルに卵とグラニュー糖を入れ、グラニュー糖のザラザラ感が無くなるまで泡立て器で混ぜる
(2)サラダ油とバニラオイルを加えて、少しとろみが付くまでよく混ぜる(乳化させる)
(3)ふるっておいた薄力粉を加えて、ゴムベラでさっくりと切るように混ぜる
(4)粉っぽさが無くなったら、練らずに押すように手でひとまとまりにする
(5)ラップを台に広げて生地をおき、20cmの長さの棒状に伸ばす
(6)ラップで生地を包み、冷蔵庫で30分冷やす
(7)冷蔵庫から出した生地をまな板の上に置き、包丁で1cm幅に切る
(8)天板に敷いたオーブンシートの上に、間隔を開けて並べる
(9)170℃のオーブンで15分焼く。焼けたクッキーは熱いうちに網の上に乗せて冷ます
(レシピ参考元:セブンプレミアム)
小麦アレルギーでも食べられる!米粉を使った「絞りクッキー」
クッキーが食べたいけど小麦アレルギーで食べられない人向けの、米粉を使用した絞りクッキーのレシピです。
絞りクッキーを美味しく作るコツは、生地の温度を25℃程の柔らかい状態にしておく事です。
生地が冷えすぎていると絞り辛くなるほかに、焼いている時に生地が膨らまないのでサクサクとした食感が無い、硬いクッキーになってしまいます。
サラダ油「米粉の絞りクッキー」材料
・米粉:100g
・ベーキングパウダー:3g
・卵:1個
・きび砂糖:30~35gの間で好みに応じて調整
・サラダ油:30g
・豆乳:大さじ1(15g)
※参考レシピではサラダ油では無く米油を推奨しています。
今記事はサラダ油を使ったクッキーに関する記事なので、材料をサラダ油に変更しています。
サラダ油「米粉の絞りクッキー」作り方
(1)ボウルに卵を入れてほぐす。きび砂糖を加えて泡立て器でよく混ぜる
(2)サラダ油と豆乳を合わせておく。卵液の中に入れて混ぜ合わせる
(3)米粉とベーキングパウダーを加えてよく混ぜ合わせる
(4)生地を絞り出し袋に入れる。天板に敷いたオーブン用シートの上に、間隔を開けて絞り出す
(5)180℃に熱したオーブンで12分~15分焼く
(レシピ参考元:ふうらぼ)
卵アレルギーでも食べられる、ホットケーキミックス使用の「卵なしクッキー」
卵アレルギーの人でも食べられる、卵不使用クッキーのレシピです。
ご紹介しているレシピでは、小麦粉やベーキングパウダー等があらかじめ混ざっているホットケーキミックスを使用します。
ホットケーキミックスは、製品によっては卵が入っている場合があります。
使用するホットケーキミックスも、卵不使用品を選ぶようにしましょう。
サラダ油「卵なしクッキー」材料
・ホットケーキミックス(※卵不使用品):160g
・砂糖:10~30g(好みの甘さで調整)
・サラダ油:60g
・牛乳:30cc
サラダ油「卵なしクッキー」作り方
(1)ボウルに牛乳以外の材料を入れて混ぜる
(2)粉っぽさが無くなったら、牛乳を入れて混ぜる
(3)生地をひとまとめにする。綿棒で生地を伸ばして、型抜きする
(4)天板に敷いたオーブン用シートの上に並べる
(5)170℃に熱したオーブンで約15分焼く
(レシピ参考元:mamagirl)
サクサクの食感がクセになる「ラングドシャクッキー」
サクサクした軽い食感が楽しめる、ラングドシャクッキーもサラダ油で作れます。
ご紹介するレシピは米粉を使うので、小麦アレルギーの人でも安心して食べる事が出来ます。
※参考元は米油を使っていますが、記載している材料をサラダ油に変えています。
サラダ油「ラングドシャクッキー」材料
・卵白:74g(※卵白は卵ごとに内容量が変わるので、使う前に重さを測る。およそMサイズ2個分)
・きび砂糖:37g
・サラダ油:37g
・米粉:37g
サラダ油「ラングドシャクッキー」作り方
(1)卵白にきび砂糖を加えて、泡だて器でよく混ぜる
※泡立てない。メレンゲにする必要もありません
(2)サラダ油を入れて、静かに混ぜ合わせる
(3)米粉を入れて、静かに混ぜ合わせる
(4)天板に敷いたオーブン用シートに、生地をスプーンですくって丸型になるように間隔を開けて乗せる
(5)150℃に熱したオーブンで約15分~20分焼く
(レシピ参考元:ふうらぼ)
クリスマスの定番「ジンジャーブレッドクッキー」
クリスマスに食べるクッキーでお馴染みの「ジンジャーブレッドクッキー」は、イギリスで発祥されたお菓子です。
本場イギリスでは、クリスマス以外のティータイムでも食べられています。
ジンジャーブレッドクッキーは生姜等のスパイスを使うので、甘味が少ないのが特徴です。
クッキーを作る際に使う「ジンジャーブレッドマン」の型は、100円ショップ等でクリスマス用グッズが並ぶ10月中旬頃から手に入れやすくなります。
サラダ油「ジンジャーブレッドクッキー」材料
・薄力粉:100g
・サラダ油:大さじ2と2分の1
・砂糖:30g
・ショウガ:1片
・シナモンパウダー:小さじ2分の1
・あら塩:適量
サラダ油「ジンジャーブレッドクッキー」作り方
(1)ショウガをすりおろしておく
(2)ボウルに薄力粉・砂糖・塩・シナモンパウダーを入れて混ぜる
(3)サラダ油を加えて、すりつぶすように手で混ぜ合わせる
(4)全体が均一にポロポロとした感触になったら、すりおろしたショウガを汁ごと加えて、ひとまとまりになるまで手で混ぜる
※ショウガの汁が足りない場合は水を少量足す
(5)生地をめん棒で厚さ3cmに伸ばす。ジンジャーブレッドマンの型で生地を型抜きする
(6)天板に載せたオーブン用シートの上に間隔を開けて並べる
(7)竹串などを使って生地に顔を描く
(8)170℃に熱したオーブンで10~12分焼く。焼けたら網の上に乗せてクッキーを冷ます
(レシピ参考元:ふたりごはん)
暑い夏でもサッパリと食べられる「レモンクッキー」
レモン果汁を入れて作る「レモンクッキー」はサッパリとした味わいなので、暑い夏の季節でもアイスコーヒーやアイスティーと一緒に美味しく楽しめます。
サラダ油「レモンクッキー」材料
・薄力粉:100g
・サラダ油:大さじ2と2分の1
・砂糖:30g
・塩:ひと摘まみ
・レモン果汁:大さじ2分の1
・水:大さじ2分の1
・レモンの皮(ノンケミカル):1個分
サラダ油「レモンクッキー」作り方
(1)ボウルに薄力粉・砂糖・塩を加えて混ぜ合わせる
(2)サラダ油を加えて、すりつぶすように手で混ぜ合わせる
(3)全体が均一にポロポロとした感触になったら、レモン汁・水・削ったレモンの皮を加えて、ひとまとまりになるまで手で混ぜ合わせる
(4)生地を台の上に置き、めん棒で厚さ4cmに伸ばす。直径3cmの楕円型のクッキー型で生地を抜く。左右に生地を少量付けてレモンの形にする
(5)天板に載せたオーブン用シートに生地を並べる
(6)170℃に熱したオーブンで約10分焼く
(レシピ参考元:ふたりごはん)
バレンタインに作りたい「チョコ入りクッキー」
チョコレートが入った、バレンタインの贈り物にもピッタリの手作りクッキーレシピです。
サラダ油「チョコ入りクッキー」材料
・薄力粉:100g
・サラダ油:30g
・砂糖:25g
・塩:少々
・牛乳:大さじ1
・板チョコ:1枚
サラダ油「チョコ入りクッキー」作り方
(1)ボウルに薄力粉・砂糖・塩を入れて泡だて器で混ぜる
(2)サラダ油を加える。ヘラで切るように混ぜ合わせる
(3)牛乳を加えてヘラで切るように混ぜ合わせる
(4)ラップを広げた台の上に生地を乗せる。上からラップを乗せて、めん棒で伸ばす
(5)生地を折りたたむ。めん棒で伸ばしてから生地を折りたたむを2回繰り返す
(6)2mmの厚さに伸ばしてから、大きめのクッキー型で2枚ずつ型抜きする
(7)型抜きした2枚の内の1枚の中央を、小さいクッキー型で型抜きして穴を開ける
(8)穴を開けた生地と穴の開いていない生地を重ねて合わせる
(9)天板に敷いたオーブン用シートの上に間隔を開けて並べる
(10)170℃に熱したオーブンで13~14分焼く
(11)クッキーが焼きあがったら冷ましておく
(12)板チョコを湯煎で溶かす。冷めたクッキーの凹んでいる部分にスプーン等を使ってチョコレートを流し入れる
(13)チョコレートを冷やし固める
(レシピ参考元:ひいらぎ 秋のかえで*shinkuのレシピ&ライフ)
サラダ油の特徴を理解して、美味しいクッキーを作りましょう!
サラダ油とバターは、同じ脂肪食品ですが特徴が大きく異なります。
サラダ油にはバター特有の「風味」がありません。他の食品を使って風味を付けるようにすると、美味しいクッキーになりやすいです。
クッキーを作る際は、油は少しずつ卵液や粉に加えていきましょう。
水と油が上手く混ざり合っている「乳化」状態にすることが、サクサクした食感の美味しいクッキーを作る為にとても大切です。
サラダ油の特徴を理解して、美味しいクッキー作りを是非とも楽しんでくださいね!