渋くてそのままでは食べられない渋柿を乾燥させると、おいしくいただける干し柿。乾燥させることで渋みが取れるのです
秋から冬の日本の情緒あふれる風景は、ノスタルジックで風情があっていいものです。
ストレスや風邪等に対する抵抗力を強めるビタミンC、体をサビさせない抗酸化作用たっぷりのβーカロテン、二日酔いに効果的なタンニン、むくみや高血圧を改善してくれるカリウム、そして便秘解消のための食物繊維など、干し柿には、ビタミンやミネラルなど一般的な果物の栄養素より多く含まれています。
野菜の収穫が減る冬場、渋柿を甘く美味しい干し柿にして栄養を摂る昔の人の生活の知恵は素晴らしいものですね。
干し柿にカビ?白い粉状の正体とは
渋柿を乾燥した風にさらし、朝晩の寒暖差の中で干すことで、渋みがなくなり、ねっとりとした干し柿になるのですが、表面が乾燥してくると白い粉のようなものがついてきます。
「せっかくの干し柿にカビが生えてしまった!」とおもうかもしれませんが、実はそれ、カビではなく柿の糖分が結晶化したもので、全体が白く覆われた方が糖度の高い干し柿といえるかもしれません。
種類によっては、あんぽ柿のように表面を糖の結晶が覆わないものもあります。
干し柿に生えるカビの特徴は?
干し柿を作る工程で、カビが生えないように熱湯にサッとくぐらせたり、焼酎を吹き付けたりとカビ対策を行いますが、それでもカビが発生してしまう場合があります。
干している過程に出る白いもの
干し柿を作っていると、表面に白い粉のようなものが付いてきます。これは、柿から水分と一緒に溶けだした糖分(ぶどう糖)です。
柿を干して表面が乾燥してきたら、優しく柿を揉んでやると中の水分が出やすくなり、糖が結晶化した「柿霜(しそう)」が表面を覆ってきます。柿霜が全体に均等に覆ったものは普通の干し柿に比べて風味と甘味が断然アップしており、極上の干し柿と言われています。
自家製の干し柿では、なかなか柿霜がつかないことがあります。
柿霜が付くには、「寒さ」と「乾燥」が大事で、10℃以下で湿度が低い期間を2週間程度必要とされるので、自家製干し柿を作るときには2週間先の天気予報を確認すると甘く美味しい干し柿が作れるかもしれません。
グレーや青色、緑色のもの
表面に付く白い粉のようなものはカビではない事がわかりましたが、ではグレーっぽい色や青や緑色をしたものはどうでしょう?
残念ながら、それはカビです。黒や青、緑に変色している斑状のものや、胞子がついている場合はカビと判断しましょう。
白い綿のようなもの
白いものでも注意が必要なものがあります。それは白くてふわふわした綿のようなもの。
柿霜とは違い綿のようなものがついていたら、それは白くてもカビと判断してください。
青や緑のカビは取り除けば風味は変わらず食べられますが、白いふわふわのカビが生えてしまった場合は、かび臭くなっているので食べない方が無難でしょう。
カビの臭いがする
青や緑、灰色っぽいものや白いふわふわしたカビ、どれも匂いを嗅ぐとかび臭い匂いがします。
見た目でわかりにくい時には、干し柿の臭いを嗅いでみて判断してみてください。
カビが生えた干し柿は食べられる?
通常、干し柿が青緑っぽくなることはありません。
グレー、青色や緑に変色していれば、切り落とすか諦めて廃棄し、食べないようにしましょう。
カビは根を深くはるので切り落とす時は表面だけをこそげとるのではなく、深めに切り取った方が安心です。
全体が黒っぽく変色したものは、柿のタンニンという成分が空気に触れることで黒くなっただけなので問題なく食べられますが、黒カビの可能性もあるので注意深く確認してください。
また、白い綿のようなふわふわしたカビが生えてしまった場合は、干し柿がかび臭く風味がおちているので食べないで破棄してください。
干し柿のに生えるカビの種類と対処法
- グレー、青や緑のカビ…変色部分を深めに切り落とす
- 全体が黒い…柿のタンニンの成分の可能性。黒カビの場合は廃棄
- 白い綿状…風味を損なっているので廃棄
カビをはやさない干し柿の保存方法は?
空気に触れさせないように気をつけます。
干し柿の保存方法と保存可能な期間
- 常温…3日
- 冷蔵…キッチンペーパーで包みフリーザーバックに入れ1週間
- 冷凍…一つずつラップに包みフリーザーバックに入れ半年~1年
*冷凍したものを食べる時には1日かけて常温解凍をするか、冷蔵庫に移しておきます。
まとめ
- 干し柿の白い粉はカビではない
- 青や緑のカビは深めに切り落として食べることはできる
- 白い綿状のカビはあきらめて廃棄
- カビかどうか判断する時は臭いでわかる
- 保存は空気に触れないようにし、常温で3日、冷蔵で1週間、冷凍で1年程