鯛焼きや羊羹・大福等の和菓子に欠かせない「あんこ」。
その原材料である「小豆(あずき)」は和菓子だけではなく赤飯や小豆粥・煮物等にも使われている、日本では非常に馴染み深い食べ物です。
そんな小豆ですが、実は様々な栄養素が豊富に含まれている『スーパーフード』であると、あなたはご存知でしたでしょうか?
今記事では日本で馴染み深い食品・小豆が持つ、優れた栄養素についてご紹介します!
小豆は何時から食べられるようになったの?
日本料理や和菓子に良く使われている小豆は、一体いつの時代から食べられているのでしょうか?
小豆はなんと、弥生時代から食べられていたと伝えられています!
卑弥呼も食べていた!?小豆は弥生時代からの伝統食品
小豆は遥か昔の弥生時代から、無病息災の為に食べられていたといわれています。
また魔避けの祈願をする行事を実施する時に、小豆を使った料理が食べられていたと伝えられています。
弥生時代の人物といえば、卑弥呼が思い浮かびます。
実際に居た人物なのかは解明されていない卑弥呼ですが、実在していたのでしたら卑弥呼も小豆を食べていた可能性が高いです。
甘い「あんこ」の普及は江戸時代から
小豆を潰し練った「あんこ」は、初めは小豆ではなく飛鳥時代に作られていた饅頭用の詰め物(肉や野菜)の事を「あんこ」と呼んでいました。
その後に肉食を避ける禅僧の影響によって「あんこ」は小豆を潰して練ったものを指す言葉になったと伝えられています。
しかし当時のあんこは砂糖が入れられておらず、塩味が強かったといわれています。
砂糖を加えて甘いあんこになり、庶民に食べられるようになったのは江戸時代からだと伝えられています。
小豆の種類について
小豆が弥生時代から食べられている伝統食であると理解していただいた上で、ここからは記事の本題である小豆そのものについて詳しく解説していきます。
小豆は全部で3種類ある
小豆(あずき)はマメ科ササゲ属の植物で、全部で3種類あります。
3種類の小豆は、下記の名前です。
・大納言(だいなごん)
・中納言(ちゅうなごん)※普通小豆とも呼ばれます。
・白小豆(しろあずき)
白小豆は白い小豆で、白あんを作る時に使われます。
余談ですが白あんは白小豆のほか、白インゲン豆も原材料として使用されます。
大納言の主な生産地とブランド名
大納言の主な生産地と生産されている大納言のブランド名称は、下記の通りです。
・北海道(アカネダイナゴン・ほくと大納言・とよみ大納言・ベニダイナゴン・ほまれ大納言・カムイダイナゴン)
・京都府丹波市(丹波大納言小豆)
・京都府亀岡市周辺(馬路大納言)
・京都府(新京都大納言)
・兵庫県美方郡周辺(美方大納言小豆)
・兵庫県(兵庫大納言)
・岡山県備中地方(新備中大納言・備中夢大納言小豆)
・岡山県(夢大納言)
・石川県能登半島周辺(能登大納言小豆)
中納言の主な生産地とブランド名
中納言の主な生産地と生産されている中納言のブランド名称は、下記の通りです。
・北海道(エリモショウズ・しゅまり・きたのおとめ・サホロショウズ・ハツネショウズ・ハヤテショウズ・アケノワセ・きたろまん・きたあすか)
・新潟県(ときあかり)
・石川県能登半島周辺(能登小豆)
白小豆の主な生産地とブランド名
白小豆の主な生産地と生産されている白小豆のブランド名称は、下記の通りです。
・北海道(北海道白小豆・きたほたる)
・京都府丹波地方(丹波白小豆)
・兵庫県(白雪大納言)
・岡山県備中地方(備中白小豆)
※白小豆は中国からも幾つかの品種が輸入されています。
小豆の栄養素について
小豆の種類をご紹介しましたが、小豆に含まれている栄養成分は具体的にどんなものなのでしょうか?
下記は小豆100g(全粒・乾)あたりのエネルギー・ミネラルの一覧です。
エネルギー | 304kcal |
たんぱく質 | 20.8g |
脂質 | 2.0g |
炭水化物 | 59.6g |
カリウム | 1300mg |
カルシウム | 70mg |
マグネシウム | 130mg |
リン | 350mg |
鉄 | 5.5mg |
亜鉛 | 2.4mg |
モリブデン | 210μg |
β-カロテン | 8μg |
ビタミンK | 8μg |
葉酸 | 130μg |
食物繊維 | 24.8g |
(データ参考元:食品成分データベース)
小豆にはマグネシウムとカルシウムが豊富!
小豆には様々な栄養素が豊富に含まれていますが、100g中にマグネシウムが130mg、カルシウムは70mgも含まれています。
マグネシウムは体のエネルギー作りに深く関わっている栄養素です。
栄養素の合成や分解をするほか、遺伝情報や神経伝達等にも働きかけます。
さらにカルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血圧の低下や血小板の凝集を抑制して血栓を作りにくくする働きも行います。
カルシウムは骨や歯を構成する成分です。細胞の分裂・分化や筋肉収縮を抑制する働きも持っています。
さらに神経興奮を抑制する働きがあるので、リラックス作用による不眠症改善やストレスの緩和に効果が期待されています。
血液凝固作用の促進等にも関与している栄養素です。
小豆はカリウムと葉酸が豊富!
小豆はカリウムと葉酸も非常に豊富です。カリウムはなんと100g中に1300mgも含まれています!
カリウムは細胞の浸透圧を維持する栄養素です。体内の水分調節・神経刺激の伝達・心臓機能や筋肉機能の調節・細胞内の酵素反応の調節等を行います。
さらに腎臓にナトリウムが再吸収されるのを抑制して体外に排出する事で、体内の血圧を下げます。
この働きによって高血圧が原因で発症する心臓病等の予防に役立つと期待されています。
葉酸は赤血球の生産を助ける栄養素です。代謝にも関与している成分で以下のような役割があります
- DNA、RNAなどの核酸を作り出す
- たんぱく質の生成を促進して細胞の生産や再生を補助
胎児を体に宿している妊婦は通常の人よりも葉酸を多く摂らないといけません。
妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児が発育不足になって長く生存出来ない深刻な状態で産まれてきてしまいやすくなります。
深刻な障害児が生まれないように、葉酸は欠かさず取らないといけない栄養素です。
小豆は食物繊維も豊富!
小豆には食物繊維も豊富に含まれています。
小豆に含まれている食物繊維の殆どは不溶性食物繊維です。
食物繊維は体内に吸収されませんが、”第六の栄養素”ともいわれる健康な体作りに欠かせない成分です。
不溶性食物繊維は、腸から水分を吸収して便のカサを増やします。便が増えることで大腸が刺激され排便がスムーズになります。
また不溶性食物繊維は有害物質を吸着して、便と一緒に体の外に排出します。腸を綺麗にする事で大腸がんのリスクを減らす効果が期待されています。
さらに食物繊維は腸内細菌の餌になります。ビフィズス菌等の善玉菌が餌にする事で体内の善玉菌の数が増え、腸内環境が改善する効果も期待されています。
(参考元:健康長寿ネット「食物繊維」)
小豆に含まれるその他の栄養成分
小豆には様々な栄養素が含まれていますが、さらに下記のような健康成分も豊富に含んでいます。
アントシアニン
アントシアニンはポリフェノールの一種です。
植物が紫外線など有害物質から身を守るために蓄えている天然色素で、小豆の場合は大納言小豆・中納言小豆に含まれています。
アントシアニンは「アントシアニジン」に糖が結合した配糖体で、網膜に存在するロドプシンというタンパク質の再合成を促すことで、目の機能を改善する効果が期待されています。
ほかにも運動後の筋肉痛の軽減や精子の質改善・更年期障害で生じる酸化ストレスの軽減・コレステロール値の軽減・認知機能の改善等にも働きかけます。
サポニン
サポニンは植物の根・葉・茎などに含まれている成分です。水を加えると泡立つ性質があるため、天然石鹸の材料に使用されています。
勿論食べる事は可能です。抗酸化作用があり、血液中の脂肪やコレステロールが酸化して作り出される活性酸素を体の外に取り除く効果があります。
またLDLコレステロールの蓄積を抑える働きも持っています。コレステロールの蓄積を抑える事で動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞の予防に役立ちます。
(参考元:健康長寿ネット「サポニン」)
モリブデン
小豆には100g中にモリブデンが210μgも含まれています。
モリブデンは人が活動する上で欠かせない機能である『代謝』に関わる必須ミネラルの1つです。
体内にも存在していますが、肝臓と腎臓に微量しかありません。
モリブデンは酵素の構成成分として、糖質や脂質の代謝をサポートする役割を持っています。
(参考元:わかさの秘密)
まとめ
日本では弥生時代から食べられている小豆(あずき)ですが、甘いあんこが庶民の間で親しまれるようになったのは江戸時代になってからです。
小豆は大納言・中納言・白小豆の3種類に分けられます。白小豆は白あんの材料です。
様々な栄養素を豊富に含んだ『スーパーフード』ですが、小豆はさらに貯えている水分を長く留めておく性質があるので、食用以外にカイロや蒸しタオルの代わりにも使用出来ます。
大量の砂糖を加えて作る甘い「あんこ」にしてしまうと、カロリーと脂質が高くなります。
健康の為に食べたいと思っている人は、和菓子よりも赤飯や煮物に加えて食べる事をお勧めします。
是非とも栄養豊富なスーパーフード・小豆を健康な体作りの為に取り入れてみて下さいね!