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山岳地帯ではお馴染み「栃の実」とは?栄養素・下処理方法と美味しい食べ方

レシピ

あなたは「栃の実」という木の実をご存知でしょうか?

山地の県ではスーパーでも売られているポピュラーな食品ですが、山が無い県に住んでいる方は「見た事も無い」という人も多いでしょう。

どのような特徴を持っている木の実なのか?栄養はあるのか?どのように食べるのか?

今記事では山岳地帯ではお馴染みの「栃の実」について、実がなる木と一緒に詳しくご紹介します。

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栃の実とは

栃の実はムクロジ科トチノキ族トチノキ科の植物「栃の木」から採れる食品です。

栃の木(トチノキ・橡の木)は、日本の山地に自生している高木の落葉樹です。

栃の木および栃の実に関するその他の詳細は、下記の通りです。

栃の木の特徴

・北海道南部から本州・四国・九州までの広い範囲の山岳部(谷筋)に生息。特に北海道南部と東北地方に多く自生している
・目立つ上に落葉時の姿が美しい為、山岳のハイキングコースや街路樹・公園にも人工的に植えられている
・海外では中国でも自生している。中国名は「日本七葉樹(にほんしちようじゅ)」
・近縁種に「セイヨウトチノキ」(フランス名:マロニエ。ヨーロッパに自生)「アメリカトチノキ」(英名:バックアイ。北米等に自生)がある
・樹高30~35m。大木に成長しやすく、直径は2mを超える
・温暖で適度に水分がある土壌を好む。樹皮は灰褐色で、成長するに従って褐色になる。老木になると裂け目が出来て大きく剥がれる
・葉は掌状複葉(しょうじょうふくよう)で、10~20cmの楕円形の葉が手を広げたような形に集まって生えている
・葉の縁はギザギザした鋸型で、葉の裏に毛がある
・葉の色は緑色だが、秋になると黄色から赤・褐色・山吹色のいずれかに変色してから黄褐色になって落葉する
・5月~6月に花が咲く。枝先の葉の間から15~25cmの円錐花序を形成する
・黄白色の雄花と乳発色の両性花を付ける。両性花は1つの花に花弁4個・おしべ7個・めしべが1個付いている。花は小さいがおしべが長い為目立つ
・蜜と花粉がある3日間は花に黄色い斑点が現れる。4日以降は赤い斑点に変化するが、変色する理由は色の識別が出来る虫だけに受粉を促させる為
・晩夏から初秋(8月下旬から10月上旬)までに果実がなる

栃の実の特徴

・果実では無く種子を「栃の実」と呼んで食用にする
・果実は椿の実に似ている。直径40mm程の球型
・果実が熟すと厚い果皮が3つに割れて、少量の種子を落とす
・種子(栃の実)も球体。艶のある濃い黒褐色をしており、見た目は栗に似ている
・種子は若干のえぐみがあるものの、優しい甘味と栗のようなホクホクとした食感をしている

栃の実は縄文時代から食べられている!?

栃の木は、古来から日本の山岳地帯に自生しています。

栃の実も古くから人々に食べられており、縄文時代から食べられていたと伝えられています。

栃の実にはエネルギーの源であるデンプン質(炭水化物)が豊富に含まれており、山岳地帯では主食として食べられていました。

現在でも日本の山岳地帯では秋の味覚の1つとして、様々な料理に使用されて食べられています。

栃の実の効能・効果

栃の実はエネルギー源である炭水化物の他にも、優れた栄養素を豊富に含んでいます。

栃の実に含まれている栄養素は、下記に記載している表の通りです。

(※蒸した栃の実100gあたりに含まれている栄養素です。)

炭水化物 34.2g
タンパク質 1.7g
脂質 1.9g
ナトリウム 250mg
カリウム 1900mg
カルシウム 180mg
マグネシウム 17mg
リン 27mg
0.4mg
亜鉛 0.5mg
食物繊維 6.6mg

(データ参考元:食品成分データベース

カリウムが非常に豊富!

栃の実(蒸し・100g)にはカリウムが1900mgも含まれています。

カリウムの1日摂取目安量は成人男性で2500mg・女性は2000mgです。栃の実を100g食べると、1日に必要な摂取量を殆ど取る事が出来ます。

カリウムには、下記の効能・効果があります。

・細胞の浸透圧の維持
・体内の水分調節
・神経刺激の伝達
・心臓機能と筋肉機能の調節
・細胞内の酵素反応の調節
・腎臓へのナトリウムの再吸収を抑制(血圧を下げる) 等

(データ参考元:健康長寿ネット「カリウム」)

カルシウムも非常に豊富!

栃の実はカルシウムも豊富です。100g中に180mgも含まれており、1日摂取目安量(成人男性600~650mg/成人女性500~550mg)の3分の1程度が補えます。

カルシウムの効能・効果は下記の通りです。

・骨や歯の構成
・細胞の分裂・分化の抑制
・筋肉収縮の抑制
・神経興奮の抑制(リラックス作用による不眠症・ストレスの緩和)
・血液凝固作用の促進 等

(データ参考元:健康長寿ネット「カルシウム」

食物繊維も豊富!

栃の実には食物繊維も豊富に含まれています。栃の実に含まれている食物繊維は、主に不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して便の容積を増やします。便の容積を増やして腸の動きを活発化させる事で、便通を良くする働きがあります。

有害物質を便に吸着させて体外に排出する働きも行います。

加えて不溶性食物繊維は腸内に住んでいる善玉菌の餌になります。

善玉菌が餌を食べて増える事で、腸内環境が良くなります。腸は「第二の脳」とも呼ばれており、腸内環境を良くする事で様々な病気の予防が期待出来ます。

(データ参考元:健康長寿ネット「食物繊維」

栃の実の下処理方法

栄養豊富な「栃の実」について実がなる木と一緒にご紹介しましたが、此処からは栃の実の下処理方法と料理についてご紹介します。

栃の実はアクが強い為、調理する前にアク抜きが必要です。

栃の実の下処理方法は、下記に記載している手順を参考しながら行いましょう。

栃の実のアク抜き方法

(1)購入もしくは木から摘み取った栃の実(種子部分)を天日干しにする
(2)4~5日間干して種子の外殻が乾燥したら、栃の実全体に熱湯を掛けて2~3時間放置する
(3)柔らかくなった外殻を手で剥く。ボウルに剥いた実を入れてから水を加えて2~3日間漬ける(実を柔らかくする)
(4)鍋に水と重曹(水1リットルに対して重曹小さじ1)を加える。重曹を水に溶かしてから火にかける
(5)水が湯立ったら火を止める。栃の実を入れて1晩そのまま漬け込む(アクを抜く)

栃の実の食べ方とおススメの郷土料理

アク抜きをした栃の実は、蒸して栗のように食べます。

蒸した栃の実は栗のように様々な料理に使えますが、栃の木が生えている山岳地帯では地元で作られて食べられている郷土料理も幾つか存在します。

下記は栃の実を使って作られている、郷土料理の一例です。

栃餅

栃餅(とちもち)は、蒸した栃の実とモチ米を混ぜてからついて作られる食品です。

通常の餅と同じくそのまま煮たり焼いたりして食べたり、小豆餡を包んだ大福にして食べます。

栃餅は特定の都道府県の名産品ではありません。鳥取県・京都府・山形県・富山県・栃木県等で作られて食べられています。

(余談ですが栃木県は特に栃の木と関連が深く、地元の山に生えている栃の木から取って都道府県名を「栃木県」にしたと伝えられています。)

栃の実煎餅

栃の実煎餅(とちのみせんべい)は、栃の実を生地に練り込んで焼き上げた煎餅菓子です。

岐阜県にある下呂温泉の土産として有名です。

栃の実煎餅も生産している製菓店によって材料と作り方が違います。何も入っていないシンプルな煎餅の他に、ザラメ入りの物や胡麻入りの物もあります。

栃の実茶

栃の実茶(とちのみちゃ)は、乾燥させた栃の実を煎じて作るお茶です。

市販品でも購入出来ますが、市販品は小豆等を混ぜているブレンド茶が殆どです。

栃の実だけを煎じて作ったお茶はえぐみが強いですが、ブレンド茶は香ばしくて飲みやすいです。

栃の実茶は、自宅でも作る事が出来ます。

栃の実を1か月間天日干しにして完全に乾かしてから、弱火にしたフライパンで焦げないようにじっくりと煎ります。

煎ってから粗熱を取った栃の実をやかんに入れて、水を加えてから弱火で沸騰後5分間煮出せば「栃の実茶」が出来上がります。

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