カモミールという植物を御存知でしょうか?
知名度が高いので、あなたも難無くイメージが思い浮かぶでしょう。
黄色い中央部分の周りに白い花弁が付いた独特の可愛い花を咲かせる植物ですが、煎じてお茶として良く飲まれる西洋ハーブの代表格でもあります。
カモミールは具体的にどのような植物で、どのような効能・効果を持っているのでしょうか?
今回は華やかな見た目と優れた効能効果を併せ持つ「カモミール」について、植物の特徴・効能効果とおススメの使い方を併せてご紹介します。
カモミールとは
カモミールはカミツレやカモマイルとも呼ばれる、春に花が咲くキク科の植物です。
ギリシア語で「大地のりんご」を意味する”カマイーメロン”が名前の由来だといわれています。カモミールは英名で、スペイン語ではマンサニージャと呼びます。
カモミールは数種類の品種がありますが、ハーブティー等で利用される品種は下記の2種類です。
・ジャーマンカモミール
・ローマンカモミール
各植物の特徴について、詳しくご説明します。
ジャーマンカモミールの特徴
・和名「カミツレ」。キク科シカギク属の1年草だが、種子・植物共に生命力が高い
・原産地は北ヨーロッパ、西アジア。ヨーロッパから西アジアにかけて広く自生しており、北アメリカにも帰化植物として自生している
・日本には江戸時代にポルトガル・オランダから伝わったという説がある
・ヨーロッパ(特にドイツ)では古くから西洋ハーブとして使われており、ハーブティーでも良く飲まれる
・草丈30~80cm程度。耐寒性があるが、乾燥と暑さに弱い
・茎は緑色で平滑。直上で生えていき、枝分かれを多数する
・葉は互生する羽状複葉(主脈の左右に小葉が羽状に並ぶ生え方)で、2~3回羽裂してコスモスのような形の葉になる。茎と葉の色は浅葱色
・日当たりと風通しが良く、水はけの良い土壌を好む。栽培が容易でガーデニング初心者でも育てやすい。(こぼれ種で自然繫殖する為、地植えでは無く鉢植えで栽培する)
・3月~6月に花を咲かせる。直径13~25mmの花は中央に盛り上がるように生える筒状花が黄色く、一列に並んだ舌状花は白い
・花の生え方は散房花序(主軸よりも長い柄をもった花が主軸の間を詰めて生える仕組み)で、1つの柄に直径2~3cmの頭花を1個付ける。胴長で花床は長円錐形。白い舌状花は満開になると反り返る性質がある
・花を揉むと、リンゴに似た独特の香りが出る
・非常に小さい種は毛や突起物の無く、片面に縦方向に5本の筋がある
ローマンカモミールの特徴
・別名「ローマカミツレ」または「アンセミス・ノビリス」。キク科ローマカミツレ属(カマエメルム属)の常緑植物
・主な栽培品種に「ダブルフラワーカモミール」「ノンフラワーカモミール」がある
・原産地は西ヨーロッパ・北アフリカ・アゾレス諸島(ポルトガル領である大西洋の島)。現在はヨーロッパ・北アフリカ・アジアの広い範囲に自生している
・草と花の形はジャーマンカモミールに酷似しているが、多年草で草丈が低い
・茎が毛状で地面を這うように伸びる為に芝としても利用されるが、小まめな手入れが必要
・「植物の医者」の異名を持つ。周囲の植物を元気にする効果がある為、コンパニオンプランツとしても利用出来る。
・開花時期は6月~7月。花茎が殆ど分岐しない。花茎の頂点に咲く花はジャーマンカモミールよりも大きいが、舌状花が満開になっても反らず筒状花も盛り上がらない
・花だけでなく葉もリンゴのような香りがする
・ハーブティーはジャーマンカモミールよりも苦みが強い
カモミールは類似植物もある!
カモミールに見た目が非常に似ている植物に「マトリカリア」があります。
マトリカリアとカモミールは花や植物の形状が酷似していますが、見分け方は簡単です。
【マトリカリアとカモミールの違い】
・葉が菊のように太くギザギザしていて幅がある(カモミールの葉は幅が狭い)
・花や葉を揉んでもリンゴの香りがしない
マトリカリアはハーブとしての効能・効果が無く、食用にも出来ません。
しかし観賞用の花として人気が高く、栽培もカモミールのように簡単です。
カモミールの効果・効能は?
可愛らしい花を咲かせるので鑑賞用としても楽しめるカモミールですが、ヨーロッパやアジアで西洋ハーブや生薬として医療にも利用されています。
カモミールには、どのような効能・効果が含まれているのでしょうか?
下記はカモミールに含まれている、代表的な効能・効果です。
リラックス効果
カモミールをハーブティー等にして飲むと、精神の安定に効果があるといわれています。
興奮した神経を鎮静させてストレスを軽減する事で、イライラの抑制や集中力の向上・安眠や鬱の予防に繋がります。
血行促進効果
カモミールには体を温める効果があります。
体が温まる事で血の流れが良くなり、冷え性や月経痛の改善が期待出来ます。
健胃効果
カモミールが持つリラックス効果は、消化器官の機能を改善する働きも行います。
ストレスが原因で起こる胃痛や腹部膨張感・下痢といった胃腸の不調予防に効果を発揮します。
抗炎症・美肌効果
カモミールには「α–ビザボロール」という精油成分が含まれています。
α–ビザボロールは蓬(ヨモギ)等にも含まれている成分で、抗炎症作用があります。
皮膚の炎症が原因で起こるニキビやアトピー・発疹を予防します。
皮膚が健康になる事で、肌が綺麗になる美肌効果も期待出来ます。
生活習慣病の予防
カモミールには「カマメロサイド」という成分も含まれています。
カマメロサイドには、関節リウマチや腎疾患・糖尿病等の原因になる物質「ペントシジン」の働きを阻害する効果があります。
糖尿病や関節リウマチは生活習慣病に位置付けられるものです。
カモミールに含まれるカマメロサイドがペントシジンの働きを阻害する事で、生活習慣病の予防にも役立ちます。
カモミールの効果を実感しよう!おススメの使い方
上品で可愛い花と優れた効能・効果を併せ持つカモミールを、是非とも生活に取り入れてみましょう!
ここからはカモミールの効果を実感出来る、おススメの使い方を4つご紹介します。
カモミールティー
カモミールの効果を簡単に実感出来るおススメの使い方は、ハーブティーです。
リンゴに似た香りと繊細な風味を持っているので、ハーブティーを飲んだ事が無い初心者でも試しやすいです。
(※初めてハーブティーを飲む人は、苦みが少ないジャーマンカモミールがおススメです。)
カモミールティーの材料と作り方
【材料】(2人前)
・カモミールの花(乾燥):大さじ2杯
・お湯:400ml
【作り方】
(1)ポットか急須にカモミールの花を入れる
(2)お湯を加える
(3)5分~10分蒸らした後、抽出液をカップに交互に入れる。2つのカップに入る抽出液の濃度を均一にしてから頂く
お好みで蜂蜜やレモン汁を加えても美味しいです。
お湯で開いた花が可愛いので、透明なポットとカップを使うと華やかな見た目で気分も上がります。
カモミール風呂
カモミールの葉と花を風呂の湯に入れて、入浴剤にします。
香りによるリラックス効果と、血行促進に良く効きます。
カモミール精油(アロマオイル)
カモミールは精油(アロマオイル)でも楽しめます。
精油は自家製でも作れますが、抽出に手間が掛かるので市販品を買うと良いでしょう。
こちらも香りによるリラックス効果が期待出来ます。
カモミール湿布
カモミールの抽出液とタオルで作る「カモミール湿布」もおススメです。
ハーブティーの3倍の濃度になるように、ティーポットに乾燥カモミールを入れてエキスを抽出させます。
抽出液を洗面器に入れたタオルに掛けて、タオルから余分な水分を絞ってから顔や肩に乗せます。
リラックス効果がある香りに癒されながら、温タオルとカモミールの効果による血行促進で、肩こりや腰痛を軽減します。